米IBMとソリューション・プロバイダの米Sidewareが米国時間6月28日に,顧客サービス向けアプリケーションの提供に関し,3年契約を結んだことを明らかにした。顧客管理をはじめ,提携企業との連携や従業員向けの協業などで,電話やWWW対応など複数のチャネルに対応するソリューションを提供する。小企業を含め,あらゆる規模の企業,政府機関などが対象。関連するすべての顧客情報に迅速にアクセスできるようにするねらいである。

 具体的には,Sideware社のeCRM(Custmer Relationship Management)製品「Enterprise Interaction Suite(EIS)」と,IBM社のデータベース管理システムDB2 Universal DatabaseおよびWebアプリケーション・サーバー製品WebSphere Application Serverなどのミドルウエアと,eServers pSeries,同Xseriesなどのハードウエアを組み合わせる。

 「オンライン顧客サービスのスピード・アップや質の向上を図るほか,ハードウエア,ソフトウエア,およびトレーニングの投資回収率を高める。導入が容易で,拡張性の高いソリューションを提供していく」(両社)

 Sideware社はIBM社のIBM Public Sector部門,IBM Global Services部門,IBM Small Business部門と連携し,米国およびカナダにおけるソリューションのマーケティングおよび販売で協力体制を敷く。また,Sideware社はIBM社のWebSphereおよびDB2を開発プラットフォームとして導入する。

 なお,両社はオンライン顧客サービス・ソリューションに関しすでに提携関係にあり,今回の契約は両社の提携関係を拡大するものとなる。Sideware社はIBM社の独立系ソフトウエア・ベンダー(ISV)向け提携プログラム「PartnerWorld for Development」の参加企業で,e-government(電子政府)サービス・パートナーとして,自社のeCRM製品とIBM社のJava開発環境「Visual Age」を組み込んだソリューションをすでに提供している。

 同プログラムでは,IBM社がソフトウエア・ベンダーに対し,マーケティングや販売支援,ソリューション・リソースなどを提供している。ベンダーはIBM社のミドルウエアやサーバー・プラットフォーム,サービスを利用する。

 なお,CRM市場に関しては,米International Data Corporation(IDC)が6月12日に,「企業は投資効率を高める主要手段としてCRMの導入を拡大する。CRMサービス市場は年平均25%で成長し,2001年の610億ドルから2005年には1480億ドル規模へと拡大する」との調査結果を発表している(関連記事)。ITサービス市場全体の年平均成長率は12%で,CRM市場の成長率はこれを大きく上回るという。

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