米VA Linux Systemsが米国時間6月27日に,アプリケーション・ソフトウエアを中心とする事業形態へと転換する計画を明らかにした。この計画の一環として同社はシステム・ハードウエアの事業から撤退する。

 大規模な組織再編を行うことで,ただちにキャッシュフローを増やし,営業損失を削減するという。

 ハードウエア製品の受注は2001年7月10日まで行い,すべてのハードウエア製品の出荷は2001会計年度末日(7月28日)までに完了する予定である。

 また同社は従業員(現在436名)の35%を,数カ月かけて削減する予定である。対象となる従業員の大半は今四半期(5~7月)中に職を失う。

 同社は今後,アプリケーション・ソフトウエア事業に注力していく。

 具体的には以下の三つの分野である。

1)「SourceForge OnSite CDS(Collaborative Development System)」事業。SourceForge OnSite CDSは企業と外部の開発者が協調してソフトウエア開発を行えるようにするシステム。VA Linux社はSourceForge OnSite CDSを同社の中核と位置づける。

2)OSDN(Open Source Development Network)事業。OSDNには,同社が2000年1月4日に正式にサービスを開始した(関連記事)ソフト開発プロジェクト支援のためのWebサイト「SourceForge.net」や,Linux関係技術者を対象としたオープンソースの掲示板サイト「Slashdot」,通販サイト「ThinkGeek」などがある。VA Linux社はOSDNサイトの運営を継続して行う。同社のリストラ策によってこれらサイトに大きな影響を及ぼすことはないという。

3) Linuxソフトウエアの開発とコンサルティング・サービス。契約ベースのソフトウエア開発。分野は,NAS(network-attached storage)や遠隔管理などのインターネット関連ソフトウエア。

 なおハードウエア事業から撤退することで,業績に大きな影響が出るという。同社はこれまで売り上げの大部分をハードウエア製品の売り上げから得てきた。このため今後の売り上げは大幅に減少する。一方で営業費用も大幅に減少すると同社は説明する。なおVA Linux社は今回の再編にかかる費用として5~7月期の決算で1000万ドルを計上する予定である。

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