オーディオ向け電子透かし技術で米Digimarcと係争中の米Veranceが米国時間6月27日に,米国特許庁(PTO:Patent and Trademark Office)が,Digimac社の特許の特定のクレームを特許庁が有効性確認の対象からはずした,などとする声明を発表した。

 Digimarc社は,Verance社を特許侵害で提訴している技術に関し,米国特許庁から特許の有効性を確認する通知を受けたことを米国時間5月2日に明らかにした。しかし,この件についてVerance社は5月5日に,「わが社が特許を侵害しているとしてDigimarc社が訴えたクレームは,特許庁の有効性確認から除かれており,現在でも審査が続いている。この件をDigimarc社は指摘していない」と声明を発表していた。

 問題となっている特許のタイトルは「Signal processing to hide plural-bit information in image, video, and audio data」。米国特許番号は「6,122,392」。Digimac社が1997年11月12日に申請し,2000年9月19日に成立している。

 Verance社は今年初めにこの特許の有効性確認の再審査を特許庁の要請していた。なおDigimac社の問題としている特許はこのほかに三つある(それぞれの米国特許番号は「5,636,292」「5,850,481」「5,832,119」)。

 Verance社はこの三つの特許についても再審査を要請している。これらについてもVerance社は,「先行技術が存在するため,特許庁が今年5月に有効性確認の対象からはずした。特許の有効性が確認されたのは,(わが社との係争で問題となっている)オーディオ向け電子透かし技術と関係ないものばかりである」と述べている。

 一方のDigimac社は同日,「6,122,392」特許について,合計27のクレームのうち特許庁が20クレームの有効性を確認したと発表した。「残りの7クレームについてはまだ確認されていないが,すでに大半のクレームが確認されている。残りの有効性についても自信を持っている」と述べている。

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[Verance社の発表資料]
[Digimarc社の発表資料]