米InterTrust Technologiesは米国時間6月27日,米Microsoftとの特許係争を拡大したことを明らかにした。InterTrust社は,デジタル著作権管理(DRM)の特許を侵害したとしてMicrosoft社をすでに提訴しているが,この訴訟に6月26日成立の特許を含めるとの申し立てを行ったもの。

 この訴訟は,Microsoft社のWindows Media PlayerなどがInterTrust社の持つ暗号化されたコンテンツの取り扱いに関する特許を侵害しているとして,InterTrust社が2001年4月にMicrosoft社をカリフォルニア州北地区連邦地裁に提訴したもの。InterTrust社が申請していたデジタル・コンテンツ転送時の著作権保護技術に関する米国特許が6月26日に成立したため,同社はただちに侵害された特許としてこれを加えた。

 InterTrust社が4月の提訴時に侵害の申し立てを行った特許のタイトルは「Trusted and secure techniques, systems and methods for item delivery and execution」。米国特許番号は6,185,683(683特許)。InterTrust社が1998年12月28日に申請し,2001年2月6日に成立した。

 同特許は,1)暗号化コンテンツの受信,2)コンテンツ利用の安全な管理,3)著作権管理が施されたコンテンツの送信,に対応するシステムとコンポーネントに関する項目を含んでいる。

 InterTrust社はMicrosoft社のWindows Media PlayerおよびWindosw OSがメディア・ファイルのダウンロードなどに関し,InterTrust社のデジタル著作権管理技術を侵害していると主張している。

 また,今回新たに提訴の対象として訴状に追加した米国特許のタイトルは「Systems and methods for the secure transaction management and electronic rights protection」。米国特許番号は「6,253,193」(193特許)。申請は1995年2月13日),成立日は2001年6月26日である。72件のクレームから成る。

 193特許はデジタル著作権管理技術の基本技術を記載しているという。デジタル音楽などの電子コンテンツを,許可された機器やユーザー間で利用または配信する方法を定め,そのための制御情報の利用法について記している。

 InterTrust社によれば,デジタル・コンテンツを転送する際の問題を解決できることがこの特許の重要なところという。たとえば音楽ファイルをコンピュータで受信し,その後携帯型音楽プレーヤや携帯電話機などに転送することが可能になる。

 InterTrust社は,Windows Media PlayerおよびWindows Millennium Edition(ME)などの製品がInterTrust社のコンテンツ転送技術を侵害していると主張している。さらに,「報道によれば,開発中のWindows XPにもWindows Media Playerがプリインストールされる模様である」と指摘したうえで,「Microsoft社の現行製品のほか今後販売される製品も提訴の対象とする」として,Windows XPについても同様の侵害に関し調査するよう地裁に求めている。InterTrust社はすべての当該製品の販売および配布差し止めと損害賠償を求めている。

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