米Euro RSCG Worldwideが米国時間6月25日に,「ハイテク技術がもたらす未来」などに関する調査結果を発表した。「脅威を感じる技術」としては,「人間とコンピュータの合体」が最多だった。

 調査はEuro RSCG社が世界の19都市の消費者を対象に実施,回答を得たもの。主な調査結果は以下の通り。

 「デジタル時代のパイオニアでもあるアメリカによる“支配”はまもなく終焉する」と感じている人は英国で52%,アジア太平洋地域では36%,南北アメリカ大陸では30%だった。「2025年までにアジア太平洋がハイテク・リーダーとなる」と回答した人は19都市全体で37%。北米では25%だった。

 新たな“技術革新”としては,「バイオ・テクノロジー」を挙げた人が多かった。「人間や動物のクローン」,「エイズや癌の治療」をはじめ,「食品工学における技術革新」を挙げた人も多かった。

 「自分が生きているあいだに,クローン人間が開発されること」については,「大賛成」が約31%,「どちらかといえば賛成」が27%で,両者を合わせると過半数を超えた。「大賛成」の割合を国別でみると,米国では40%と多くの人が積極的に支持しているのに対し,イタリアでは0%だった。

 「現在すでに利用されている技術や将来的に実現が可能とされる技術のなかで,あなたが脅威を感じるものは」との問いに対しては,「人間とコンピュータの合体・融合」を挙げた人が最も多かった。「本来は人間が考えるべきことを,ロボットに取って代わられることに脅威を感じている人が多い」(Euro RSCG 社)。

 「技術が人間の良識や判断力に悪影響を及ぼしているか」について,「とてもそう感じる」との回答が12%,「いくらかそう感じる」が26%。また,「(企業や政府に対する)コンピュータ・テロ」については「深刻な問題となりつつある」と感じている人が45%にのぼった。「いくらか深刻な問題となる」も35%にのぼり,両者合わせて78%となった。

 「コンピュータが今後も進化し続け,そのうち人間が制御できなくなる時がくる」可能性につて,「非常にそう思う」人は8%,「いくぶんそう思う」人は18%だった。「そう思う」人の割合を地域別でみると,アジア太平洋が11%と最も高く,中南米が9%,欧州が7%,北米が4.5%と最も少なかった。

 また,「長期的にみると,技術は社会に悪影響を及ぼすものとなる」と考える人は,19都市平均で5%,欧州は7%と高く,北米はわずか1%だった。

 「2005年時点のインターネット・アクセスで,多くの人が利用するもの」としては,「携帯電話やその他の無線端末」を挙げた人が63%にのぼった。「TV」は23%,「パソコン」は14%にとどまった。ただし,北米での回答は,「パソコン」が13.5%で「携帯電話」はわずか6%と逆になっている。「TV」が18%,「その他の無線端末」が63%だった。

 2005年にはインターネット・ユーザー全体の80%近くが非英語圏のユーザーとなるといわれている。「世界の共通言語」に関しては,「英語が今後も支配的な地位を維持する」と回答した人が多かったが,「中国語」を挙げた人も非常に多い。

 「あったらいいなと思うハイテク製品」については,「移動中なども家族や友人などと連絡できるビデオやカメラ付きの携帯電話」,「空を飛ぶ自動車」,「テレポート機器」などが挙がった。

◎関連記事
土俵際のIT革命
IBMが量子コンピュータを試作,超高速演算に道,実用化は20年後?
実体が見えてきた“ウワサの大発明”ジンジャー 

[発表資料へ]