米Gartnerが米国時間6月18日に,小売業者のCRM(customer relationship management)戦略に関する調査結果を発表した。多くの企業がCRMを2001年の重要なビジネス戦略と位置づけているが,実際に導入に至っている企業はわずかだという。

 調査は,2000年12月に56社を対象に,2001年のビジネス戦略に関してアンケートを実施したもの。CRMがビジネス戦略の優先度として「最も高い」と回答した企業は52%。「中程度」という企業は43%,「低い」という企業は5%だった。

 しかし多数の企業がCRMを重要なビジネス戦略と認識しているにもかかわらず,実際にCRM戦略を展開している企業はわずか34%にとどまった。

 「経営者レベルの認識は高いが,CRM構想を実践に移すことが必要である」(Gartner社CRM調査グループ調査ディレクタのCarol Ferrara-Zarb氏)。

 しかし,CRMの成否を決めるのは技術ではないとGartner社は指摘する。「CRMが技術導入だけで達成できると考える企業は失敗する。企業は,顧客が期待するものと自社の強みや弱みを冷静に見極め,社内プロセスを顧客のニーズに対応できるように再構築する必要がある」(同氏)。

 CRMに注力する小売業者は2004年末までに主に以下の取り組みを進めるとみる。

・顧客との全接点において,統一性のある応対を提供。

・各チャネルわたる詳細な顧客情報の収集と活用。

・収益性のある消費者の特定。

・消費者の生涯価値と収益性の把握。

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