米AMDと米NVIDIAが台湾時間6月4日に,NVIDIA社のグラフィックス・アーキテクチャ「nForce Platform Processing Architecture」にAMD社のLSI間バス技術「HyperTransport」を採用したことを明らかにした。NVIDIA社は,パソコン向けグラフィックスLSIや米マイクロソフトのゲーム機「X-box」向けマルチメディアLSIを供給しているLSIベンダーである。

 台湾で同日開幕した「COMPUTEX TAIPEI 2001」で両社が発表したもの。HyperTransport技術を組み込んだLSIはnForceが初めてとなる。

 nForceはNVIDIA社が同日発表したパソコン向けマルチメディアLSIチップセット。「nForce Graphic Processor(IGP)」と「nForce Media and Communication Processor(MCP)」から成る。MCPには「Dolby Digital Interactive Content Encoder」を組み込み,マルチメディア機能を強化した。IGPとMCP間のスループットは800Mバイト/秒。

 nForceはDDR(Double Data Rate)メモリに対応し,128ビット幅のメモリ・インタフェースを備える。PC2100 DDR SDRAMシステムでのスループットは最大4.2Gバイト/秒である。「Rambus DRAMを使ったPentium 4システムよりも33%性能が高い」(AMD社)という。

 なおHyperTransportは,LSI間のポイント・ツー・ポイント接続に向けたバス技術。HyperTransportのデータ伝送速度は12.8Gバイト/秒である。「パソコン内のLSIやネットワーク,通信機器間のデータ伝送速度を現行の266Mバイト/秒と比べ最大48倍にまで高めることが可能」(AMD社)という。 PCIをはじめ,InfiniBandや10GビットEthernetを補完する技術と位置づける。

 「最近のパソコンは3Dグラフィックスやストリーミング・ビデオ,複雑なオーディオ・システム,高速ネットワーキング機能などを標準搭載しており,従来のシステムでは効率的な処理ができなくなっている。世界で最速の性能を備える強力なプラットフォームとしてnForceを提供する」 (NVIDIA社)。

 AMD社によれば,これまでに米Broadcom,米Cisco Systems,米Sun Microsystemsをはじめ,150社以上のベンダーがHyperTransportの採用を決めているという

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[AMD社の発表資料]
[NVIDIA社の発表資料1]
[NVIDIA社の発表資料2]