米Advanced Micro Devices(AMD)が6月5日に,サーバー/ワークステーション向けx86プロセサ「AMD Athlon MPプロセサ」を発表した。台湾で開催中のCOMPUTEX TAIPEIで明らかにしたもの。

 シングル・プロセサあるいは2ウエイ構成のサーバーやワークステーションに向ける。動作周波数は1GHzと1.2GHz。外部バス(front side bus)のクロック周波数は266MHzである。AMD社によると,20社以上のベンダーがAthlon MP搭載システムを市場に投入するという。

 AMD社にとって,サーバーはノドから手が出るほど欲しい市場だ。2000年末のマイクロプロセサの平均価格ASP(average selling price)を比較すると,Intel社とAMD社のASPには歴然とした差が存在する。Intel社の189ドルに対して,AMD社は90ドル前後と言われる。この差は,サーバー市場に食い込んでいるかどうかによって生まれている。Intel社にとって,比較的高値で安定しているXeonプロセサ・シリーズが高収益体質の源泉となっているのだ。これに対しAMD社は,サーバー向けプロセサやマルチプロセサ構成に対応したチップセットがないこともあって攻め手を欠いていた。

 Athlon MPは0.18μmルールのCMOS技術で製造する。銅配線を使う。製造拠点はドイツのドレスデンである。1000個ロット時の価格は,1.2GHz版が265ドル,1GHz版が215ドルである。

 Athlon MP向けに「760 MP」と呼ぶチップセットを用意した。DDR SDRAMを主記憶として使う。760チップセットは,システム・コントローラ(northbridge)「762」と周辺バス・コントローラ(southbridge)「766」から成る。762は949ピンのプラスチックBGAに封止する。766のパッケージは272ピンのBGA。

 760チップセットは,AGP 4xのグラフィックスに対応する。主記憶はPC1600とPC2100のDDR SDRAM。PCI2.2準拠の32/64ビットPCIバス・インタフェースを備える。クロック周波数は33MHz。ATA33/66/100に対応した2チャネルのEIDEインタフェースをもつ。

Athlon MP用チップセット

 AMD社はWWWサイトで,サーバーおよびワークステーションのベンチマーク・テスト結果も明らかにした。米IntelのPentium 4(1.7GHz版と1.5GHz版)やPentium III(1GHz動作)と比べている。下表はシングル・プロセサのワークステーションの結果(相対値)である。

  Athlon MP Pentium 4
1.2GHz 1GHz 1.7GHz 1.5GHz
BAPCo SYSmark2000 123% 106% 111% 100%
Adobe Photoshop 5.5 143% 132% 114% 100%

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[発表資料]