Vodafone Group Plcの英国子会社Vodafone UKが,無線データ通信システムGPRS(General Packet Radio Service)を使ったWAP(Wireless Application Protocol)サービス「WAP over GPRS」を6月1日から始める。同社がニューヨークで現地時間5月31日に明らかにしたもの。

 Vodafone UK社は2001年4月より企業向けのGPRSサービスを提供している。WAP over GPRSはこのサービスにWAPサービスを付加するものとなる。

 「GPRS携帯電話の新機種を使うことで,Vodafoneの企業顧客はLANを介した企業システムへの無線アクセスのほかに,WAPを使った無線インターネット・アクセスが可能になる」(Vodafone UK社)

 このWAP over GPRSサービスでは,通信速度をこれまでよりも高速にする。またインターネット接続中でも,一時的に通話を割り込むことが可能。これにより通話終了後に再ログオンし,WAP接続をはじめからやり直すという必要がなくなる。このほか対応携帯電話機ではユーザがお気に入りのWAPサイトをブックマークする「Favorite WAP」機能を用意する。

 「GPRSのメリットは極めてシンプル。それは本物のモバイル・オフィスの実現だ。通信速度はより高速になる。もはやファイルのダウンロードや,データの更新,電子メールの送受信のためだけにオフィスにいるという必要はなくなる」(Vodafone UK社Commercial部門マネージング・ディレクターのPaul Donovan氏)

 料金体系は大別して2種類を用意する。一つは利用頻度が少ない顧客向け。これまでのGSMサービスの料金プランにGPRSのサービス料金を付加する形で提供する。これにはデータ送受信量1Kバイトに付き2ペンスを徴収する「GPRS」と,1Mバイト分のデータ送受信料を先払いする「GPRS1」がある。利用頻度が多い顧客には,5Mバイト~100Mバイトの範囲でデータ量を選べたり,契約台数が26台以上の場合有利になるといった各種のバンドル料金を用意する。

 なお,Vodafone UK社によると,WAPサイトの1ページ当たりの平均データ量は1~2Kバイト。「1Mバイト分のわずかな料金を支払えば,500~1000ページが閲覧できる」(同社)という。

 WAP over GPRSサービスの開始に伴い,初めに提供する対応GPRS機は米MotorolaのTimeport(T260)。Vodafone UK社では,今後数カ月でこれ以外のGPRS機や PDAを利用可能にするとしている。

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