米Intelが米国時間5月29日に,64ビット・アーキテクチャのマイクロプロセサ「Itaniumプロセサ(開発コード名)」を搭載したサーバーやワークステーションが量産の段階に入り,6月中に出荷が始まることを正式発表した。64ビット・プロセサ初代Itanium

 2001年中に約25のベンダーから合わせて35機種以上が投入される予定である。

 またIntel社は同日,Itaniumの正式出荷を始めたことも明らかにした。まずは2~4Mバイトの3次キャッシュを内蔵し,動作周波数800MHz版および733MHz版を提供する。価格は1177ドルから4227ドルである。

 Itaniumプロセサは新しい並列命令実行技術「Explicitly Parallel Instruction Computing(EPIC)」を組み込んでいる。Intel社によれば,Itaniumベースのシステムは,RISCプロセサ搭載機に比べてオンライン・セキュリティ・トランザクションの処理性能が最大で12倍という。

 マイクロプロセサと主記憶などを結ぶフロントサイド・バス(FSB)のデータ転送速度は2.1Gバイト/秒。マイクロプロセサのCPUコアと同一パッケージ内にある3次キャッシュを結ぶバックサイド・バス(BSB)のデータ転送速度は12.8Gバイト/秒である。3次キャッシュは4ウエイ・セット・アソシアティブ構成。CPUコアと同じ周波数で動作する。CPUコアは2540万トランジスタを集積する。

 このほかエラー検出技術として,Enhanced Machine Check Architecture(EMCA)やError-Correcting Code(ECC),パリティ・チェック機能を組み込んでいる。

 このほかの主な特徴は以下の通り。Itaniumの構造図

■命令フォーマット長:128ビット(バンドルと呼ぶ)
3×41ビット長命令+5ビットのテンプレート

■命令セット:148種類(アプリケーション向け109種類)

■アドレス空間:64ビット

■レジスタ・セット
整数レジスタ :128本×64ビット
浮動小数点レジスタ :128本×82ビット
プリディケート・レジスタ:64本×1ビット

■内部構造
四つの浮動小数点演算ユニット:2×倍精度,2×単精度
カートリッジの形状で供給
0.18μmルールの半導体技術
3レベルのキャッシュを内蔵
(1次,2次はチップ内蔵,3次キャッシュはカートリッジに搭載)

 なおItaniumベースのシステムで利用可能なOSは,64ビット版Windows,HP-UX 11i x1.5,AIX-5L,Linuxの4種類。Linuxについては,これまでのところ米Caldeta,米Red Hat,独SuSE Linux,米Turbolinuxの4社がItanium向けの64ビット版を投入することを明らかにしている。

   Intel社が明らかにしたベンチマーク結果は以下の通り。

  SPECint2000 SPECfp2000
Sun Enterprise 450
Ultra SPARC II:480MHz/8Mバイト
225 274
Sun Blade 1000/1750
Ultra SPARC III: 750MHz/8Mバイト
370 373
HP server rx4610
Itanium: 800MHz/4Mバイト
404 ---
Dell PowerEdge7150
Itanium: 800MHz/4Mバイト
--- 711

  Coradiant Secure
Transactions
(transactions/sec)
トランザクション処理
(相対値)
Linpack1000
(MFLOPS)
UltraSPARC II:450MHz 114 1 607
UltraSPARC III:750MHz -- 1.4 1300
Itanium:800MHz 1376 1.8 2380

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