IEEE 1394の標準化を進める業界団体1394 Trade Association(1394 TA)が米国時間5月21日に,データ転送速度の高速化と伝送距離の延長を図った新仕様「1394b」を発表した。

 1394bは「IEEE 1394-1995」と「1394a」をベースにしており,「新たなアプリケーションに向けた標準規格としての普及を目指す」(1394 TA)としている。

 1394bでは,IEEE 1394-1995と比べてバンド幅,伝送速度,距離,コスト効率などの面を大幅に高めた。

 主な内容は以下の通り。

・伝送速度:まずは800Mビット/秒と1.6Gビット/秒。さらにプラスチック光ファイバを使用し3.2Gビット/秒に引き上げる。

・ノード間の距離:100メートル以上。CAT-5 UTPの場合は伝送速度100Mビット/秒。プラスチック・ファイバなら200Mビット/秒,グラス・ファイバでは3.2Gビット/秒である。

 また1394b対応ICのゲート数は,従来と比べて2倍の2万~2万5000になるが,アナログ設計はこれまでより単純になるという。

 1394bは「beta」と「bilingual」の二つのモードを用意する。bilingualモードは1394aおよび1394-1995対応機器と下位互換性を持つ。beta仕様のコネクタは既存の4ピンのコネクタと同じ形状。

 1394b対応製品と技術は近々利用可能になる。米Texas Instruments,NEC,松下電器産業,米Agere Systemsなどが1394b対応製品の開発を行っている。

 「800Mビット/秒の性能を備えた最初の製品は今夏の登場を期待する。さらに高速な製品への着手は秋になるだろう」(1394 TA議長のMax Bassler氏)。

 1394bは車載機器をはじめ,ハード・ディスク装置やモバイル向けストレージといった一般的なストレージ製品での利用も想定する。

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