米GartnerのDataquest社が米国時間5月16日に,2000年における米国のASP(Application Service Provider)市場に関する調査結果を発表した。市場規模は売上高ベースで14億3000万ドル。

 ベンダー別にみると,首位の米USinternetworkingが売上高1億1000万ドルで,市場シェアは7.7%だった。2位に米Qwest Cyber.Solutionsが1億ドル,シェア7.0%で続いた。

 「市場で圧倒的な勢力を持つベンダーはなく,僅差で多数の企業が林立している状態である。上位10社を合わせても,シェアは市場全体のわずか30%にとどまっている」(Dataquest社)。米国市場における上位10社は以下の通り。

■表 2000年 米国ASP市場,ベンダー別の売上高トップテン(速報値/単位:100万ドル)

ベンダー名 売上高 市場シェア(%)
USinternetworking 110.0 7.7
Qwest Cyber.Solutions 100.0 7.0
Interliant 52.0 3.6
PeopleSoft 40.0 2.8
Corio 33.5 2.3
eOnline 25.0 1.7
Breakaway Solutions 20.0 1.4
Agilera 20.0 1.4
Surebridge 17.0 1.2
Telecomputing 11.0 0.8
その他 1,001.5 70.1
合計 1,430.0 100.0

出典: Gartner Dataquest社 (May 2001)

 「ASP市場はまだまだ成熟には至っていない段階だ。ASPベンダー数は米国市場だけでも約500社にのぼるとみられる。そのため1社当たりの収入が小さくなっている」(Dataquest社の主席アナリスト,Ben Pring氏)。

 Dataquest社は,今後のASP市場について,再び勢いを増して急成長するという可能性と,宣伝文句ばかりが一人歩きするなどマイナス面が続く可能性の両面があると指摘する。

 「ASPサービス全体をまた一から作り直すというくらい徹底的に改善する力があるかどうか。これこそが3~4年後にASP事業で成功できるかのカギとなっている」(Pring氏)。

 なお日本市場に関してはDataquest社の日本法人である日本ガートナーグループのデータクエスト部門が5月10日に,「2000年の国内市場規模は158億円」とする推計を発表している。同社が1999年3月に発表していた2000年の市場規模予測値「254億円」の6割程度にとどまった。

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