「世界の広帯域ユーザーは,2000年の2000万人から2004年までに9000万人に拡大する。伸び率は350%」。米eMarketerが米国時間4月30日に調査結果を発表した。

 米国,カナダ,デンマーク,ドイツ,韓国,スウェーデン,オランダで普及率が高い。アジア太平洋地域市場では韓国と日本のシェアが飛びぬけている。

 米国以外の地域では,国によって普及率の落差が大きい。韓国とカナダが普及率50%で突出しているが,他の地域では広帯域サービスに対する評価がいまひとつで,普及率は10%に満たない」(eMarketer社シニア・アナリストのBen Macklin氏)。

 米国市場で広帯域接続を日常的に利用するアクティブ・ユーザー数は,2000年の940万人から2004年までに5800万人へと517%も増えると予測している。また,米国におけるダイヤルアップ接続のユーザー数は2002年がピークで,それを境に徐々に減少するという。

 「ハイテク市場の陰りが鮮明になっているほか,DSL市場でプロバイダの破綻やサービス停止などトラブルも続いているが,米国市場における高速インターネットの需要は極めて旺盛である。家庭向け,企業向けともに今後2,3年にわたって著しく成長し,2004年には普及率がクリティカル・マスの30%に達する」(Macklin氏)。

 その他の調査結果は以下の通り。

<世界市場>
・固定無線,衛星,光ファイバなどの広帯域ユーザー数は,世界市場で2000年の700万人から2004年には3200万人へと大きく拡大する。

・広帯域接続サービスの普及見込みで,英国は欧州16カ国中9位。ベルギーやオーストリア,フィンランドなどの後塵を拝している。

・ベルギー市場とデンマーク市場が著しく成長する。ベルギー市場は2000年の3700万ドルの水準から2004年には3億9200万ドル規模へと10倍以上に拡大する。デンマーク市場では家庭向けの普及率が33%を超える。

・今後2年間で衛星通信プロバイダが急伸し,CATV接続プロバイダやDSLプロバイダを脅かす存在となる。現在勢いをつけている衛星通信プロバイダには米DirecPCや米StarBandなどがある。

<米国市場>
・米国で日常的にインターネットを利用するアクティブ・ネット・ユーザー数は2004年までに1億4300万人となる。このうち,ダイヤルアップ接続ユーザーが8500万人で,広帯域ユーザーが5800万人。

・米国におけるDSLサービスの加入世帯数は2000年の150万世帯から2004年までに1300万世帯に拡大する。

・米国の広帯域接続サービス市場は売上高ベースで2000年の22億ドルの水準から2004年に80億ドル規模へ成長する。ダイヤルアップ接続サービス市場は2000年の80億ドルから2004年には46億ドル規模へと縮小する。

・米国におけるDSLサービスの企業ユーザー数は2003年までに200万人近くに達する。

・米国のDSL市場は2003年までに20億ドル~60億ドルの規模に成長する。

・米国の広帯域接続市場では2005年までケーブル接続サービスが優位に立つ。2005年にはDSLが急伸する。

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