米Ovumが,「企業間(BtoB)マーケットプレース(インターネット取引所)は廃れたわけではない,休止しているだけ」などとする分析を発表した。

 米Ventroや米Dell Marketplace,米Just2Clicksなどの有名マーケットプレースの閉鎖,再編,資金難などが伝えられ,BtoBマーケットプレースのコンセプトはもはや廃れたという考えがある。マーケットプレースが「死に体」であるという考えは,現在起こっている業界の統廃合の動きから生じた混乱によるもの。しかしこれは単に,「少ないユーザーを多くのマーケットプレースが取り合ったために起こっただけ」(Ovum社上級アナリストのMary Hope氏)。

 この動きを「“成熟期に達した産業界の統廃合”と勘違いしてはならない」と同氏は指摘する。長期的にみれば,何千もの専門化したマーケットプレースが存在できるだけの市場は存在するという。

 「マーケットプレースは成熟産業とはほど遠い」(同氏)。普及率や売り上げはまだ低く,大半のマーケットプレースでは儲けが出るのは数年先。しかし売り上げが堅調に伸び,需要と供給のバランスが取れれば,そのときの生存者には多くのチャンスがめぐってくる。

 またBtoBマーケットプレースは専門化がカギという。「多くのマーケットプレースのサービスは,これまでオフラインのそれを自動化しているに過ぎず,ユーザーにそれ以上の付加価値を提供してこなかった。成功のカギは個々のニーズと,小規模グループの買い手と売り手の取り引きパターンを把握すること。そこには多くの共通点があるはず。ユーザーは複合的な付加価値サービスに対してお金を支払ってもかまわないと考えている」(同社)。

 複合的な付加価値サービスとは,「パートナーとの取引や協力関係の構築を手助けすること」。これによりニッチなマーケットプレースが多数誕生する。これまで考えられていたように,大手の数社が市場を席巻するといった構図ではないと同社は分析する。

 また長期的にみれば,利益を確保できるマーケットプレースの多くはASP(Application Service Provider)の形態をとるという。

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