(2001.4.27,Ted Kemp=InternetWeek

 中国のクラッカー(悪意をもったハッカー)が4月の終わりから5月初頭にかけて米国のWWWサイトを攻撃する計画らしい。FBIのオンライン犯罪部門が警告を発している。

 米国家基盤構造保護センタ(NIPC:National Infrastructure Protection Center)ではネットワーク管理者に,4月30~5月7日までクラッカーによるWWWページへのいたずら書きやDoS(denial-of-service)攻撃に特別の注意を払うよう呼びかけている。

 4月30~5月7日は中国の二つの主な労働祝日にまたがる。また5月7日はベオグラードの中国大使館が米軍の爆撃を受けた日でもある。中国のハッカーは「この期間に活動を強めるとの話し合いを公に行っている」のだという。

 NIPCはいつ,どこでそのような話し合いが行われたかは明らかにしていない。また,クラッカーがまとまった攻撃を仕掛けるのか,個別の攻撃の頻度が増すだけなのかについても不明である。

 NIPCによれば,中国のクラッカーはこれまで多数の米国サイトに中国支持や反米国を意味するいたずら書きをしたという。また,米国のさまざまなサイトが「Lion」と名づけられた中国のインターネット・ワームの侵入を受け,DoS攻撃の踏み台にされた。Lionワームは感染したサイトのパスワードを中国の電子メール・アドレスに送信している。

 米中間における最近の事件が,中国人クラッカーの米国に対する敵意をあおっていると,政府筋はみている。最近の事件とは,米国偵察機と中国軍機の接触事故,米国による台湾への最新兵器輸出決定,台湾を中国から守るために軍事行動を起こす用意があるとのブッシュ大統領の発言である。以来,両国間の緊迫ムードは高まっている。

 なおFBIは,侵入を受けたWWWサイトはNIPC(http://www.nipc.gov/incident/cirr.htm)に報告するよう要請している。

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