米Microsoftと通信大手の米Qwest Communicationsが米国時間4月26日に,家庭向けDSLサービスに関し,両社が包括提携したことを明らかにした。インターネット接続サービス「MSN Internet Acccess」や金融,ショッピングなどのMSNサービスの提供でQwest社のインフラを利用する。
具体的にはMicrosoft社がQwest社からDSLネットワークの帯域やダイヤル・ポート,決済サービスを購入する。契約期間は5年間である。
Microsoft社はダイヤルアップ接続とDSL接続の2種類の接続サービスを提供していたが,提携していたDSLプロバイダの米NorthPoint Communications Groupが経営難に陥ったため,DSLサービスの提供をすでに停止している。今回,これに代わる新たなプロバイダとしてQwest社と契約したもの。
現在のところ,MSNユーザーが利用できる高速インターネット接続サービスは,コストのかかる衛星通信だけとなっている。なおダイヤルアップ接続に関しては,Qwest社のネットワークを利用することで両社はすでに提携関係にある(関連記事「QwestとMicrosoftが提携拡大,MSNにダイアルアップ接続を提供」)。
また両社は1998年に企業向けWWWソリューションの提供に関し提携関係に入った。これまでにWWWホスティングや管理ソフトウエア・サービス,VPN(Virtual Private Network),ストリーミング・メディア・システムなどで協力体制を敷いている。今回の契約は両社の提携関係をさらに拡大するものとなる。
Qwest社は自社の顧客にMSN Internet AccessやMSNサービスの販売を行う。Qwest社は米国の14州でDSLサービスを提供しており,電話サービスも含め1200万世帯以上の顧客を抱える。Qwest社は2001年夏からまず50万世帯を対象にMSN Internet Accessサービスを提供する。カリフォルニア州,ニューヨーク州などサービスエリア外の地域でもMSN Internet Accessのみ,もしくはQwest社の通信サービスとセットにしたパッケージの販売促進を行っていく。
両社は,MSN社が運営するWWWサイトでQwest社のサービスのプロモーションを行うことでも合意した。「MSN Internet」サイトをはじめ,ニュース・サイト「MSNBC」,MSN社のオンライン・マガジン「Slate」,ゲームサイト「ZONE.com」,音楽サイト「MSN Music」,Microsoft社の中小企業向けWWWポータル・サービス「bCentral」などで展開していく予定。
Microsoft社は4月11日(米国時間)にMSNサービスのユーザー数が500万人に達したと発表している。米オンライン・ウォールストリート・ジャーナルによれば,MSNサービスは米Earthlinkのユーザー数480万人を追い抜いてISP市場で2位につけたという。1位は米America Online(AOL)で,ユーザー数は2900万人を突破している。
◎関連記事
<Qwest社関連>
■QwestとMicrosoftが提携拡大,MSNにダイアルアップ接続を提供
■QwestがDSLサービスの速度拡張を発表,256kbpsから640kbpsに
<MSN関連>
■「『MSN Internet Access』のユーザーが500万人を超えた」と米マイクロソフト
■米マイクロソフトと米NBCが個人向け金融情報サービス・サイトを統合
■「MSN Explorer」の提供でMSNサービス利用者が急増,と米マイクロソフト
■Microsoftがアクセシビリティ高めた「MSN Explorer」プレビュー第2版を配布
■Microsoftが「MSN Explorer」プレビュー第2版を発表
■「IMサービス,ユーザー数首位はAOLだが,Yahoo!とMSNが伸び率で凌ぐ」米社調べ
■米マイクロソフトが無線ネット・サービス「MSN Mobile」を新装
<NorthPoint社関連>
■米AT&T,DSL事業者の米NorthPointの資産を約1億3500万ドルで取得
■DSLサービス・プロバイダ大手の米NorthPoint Communications社が企業倒産保護法による保護を申請
<DSL市場>
■「DSL市場は2005年までに50億ドル規模へと3倍増,持続的成長」と米NPRG
■「DSLシェアが39%へ急拡大,ケーブル・モデムに迫る勢い」と米ハリス
■消費者の30.6%は地域電話会社による高速接続サービスを希望
[Microsoft社の発表資料]
[Qwest社の発表資料]