「第3世代(3G)サービス市場は,周波数帯域の購入コストが高額であること,携帯電話機の開発・発売に遅れが出ていること,消費者による導入・利用が緩やかにしか進まないことなどといったマイナス要因があり,見通しは明るいとはいえない」。米Cahners In-Statが米国時間4月24日に調査結果を発表した。

 市場が本格的に立ち上がるまでには数年かかる,3Gサービスではビデオ電話や高速インターネット接続,マルチメディア・サービスなどといったサービスを提供するが,短期的にはあまり期待できない,としている。

 2001年に世界の無線市場で3Gサービスが占める割合は4.7%,2005年には50%近くに拡大するとIn-Stat社は予測する。またキャリアには,コストも重くのしかかっていると指摘する。

 「3Gサービスは,“体力”のない企業には向かない」(In-Stat社主席アナリストのRay Jodoin氏)。

 In-Stat社によれば,無線キャリアが2000年に3G技術のW-CDMAのために費やした費用は85億ドルを超えたという。2000年に企業が無線技術に費やした費用の総額は285億ドル。その他の調査結果は以下の通り。

・3Gサービスの導入・提供は日本市場が先行する。しかし3Gサービスが日本各地に行き渡るのは早くても2002年後半となる。

・欧州市場では3Gへの取り組みが早くから行われていたが,市場が立ち上がり利用者が増えるのは2003年半ば頃になる。

・3G事業の収益性は,周波数帯域のライセンス取得にかかるコストに影響される。

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