米Intelが光ネットワーク機器向け半導体製品の開発を手がける米国企業3社を買収することで,それぞれと合意に達した。米国時間4月24日にIntel社が明らかにしたもの。

 Intel社が買収するのは,米Cognet,米nSerial,米LightLogicの3社である。なお取引金額などの詳細については明らかにしていない。3社の買収は今後当局からの審査を受ける必要があるが,Intel社では2001年の第2四半期にも買収作業を完了すると見込んでいる。

 3社のうちCognet社とnSerial社は,10 Gigabit Ethernet向けLSIを手がけている企業である。

 Cognet社は光波から変換後の信号の処理を光モジュール内で行うLSIを開発しているベンダーである。nSerial社はこれら信号をネットワーク機器で使われるプロトコルに変換するLSIを手がける。いずれのLSIもCMOSプロセスを用いて製造する。

 LightLogic社は光トランスポンダを手がける会社。光通信は大都市圏での利用が急増しており,LightLogic社はこの市場に向けた「高速光トランスポンダのリーディング・プロバイダ」(Intel社)という。同社の光トランスポンダは光部品と電子部品を一つのデバイスに組み込んでおり,光信号から完全にフォーマット化したデジタル信号までの変換処理を一貫して行う。このためネットワーク機器メーカの開発にかかる費用と時間を縮小できる。

 「ネットワーク機器や通信機器市場の低迷が続いているが,Intel社は投資を行い,重要な光/電子技術を取得することになった。半導体技術におけるIntel社の強みも伴って,市場回復の際には業界をリードできる」(Intel社 Optical Products Group副社長兼ジェネラル・マネージャのMike Ricci氏)。

 なおIntel社は2000年にデンマークNKT(NKTホールディング)傘下の GIGA A/Sを買収しており,すでにOC-192(10Gビット/秒)対応機器向け半導体製品などを供給している。現在は40Gビット/秒対応の次世代製品の開発に取り組んでいるという。

 また2001年2月には,無線/広帯域LSIのファウンダリであるドイツCommunicant Semiconductor Technologies AGとの技術提携や同社への投資についても明らかにしている。Communicant社は現在,シリコン・ゲルマニウム・カーボン(SiGe:C)プロセス技術を使ったLSIの製造施設を建設中である。

◎関連記事
<Intel社の買収・提携>
米インテルと米IBM,ネット端末や携帯電話向けソリューションで提携
Intelが二つの通信プロセサ・アーキテクチャ,光ネットワーク向けLSI製品も発表
米インテル,光ネットワーク向けDSP技術の米VxTelを5億5000万ドルで買収
IntelがSS7プロトコルのDatakineticsを買収
IntelがネットワークLSI開発のThinkit Technologiesを買収
Intelがネットワーク・プロセサのBasis Communicationsを4億5000万ドルで買収

<Gigabit Ethernet関連>
IEEE 802.3作業部会が10GビットEthernetのドラフト最新版を承認
Intel,Cisco,3Com,Sunなど,10GビットEthernetで業界団体を結成
米インテルが1チップのGigabit EthernetコントローラLSIのサンプル出荷を開始
「ギガビット・イーサが普及期に,サーバーでは来年早々10/100Base上回る」と米インテル副社長
米デル,ギガビット・イーサLSIをマザーボードに実装したサーバーを出荷

<その他>
米インテルが大幅減収減益,前年同期比で純利益は実質64%減,売上高も16%減
もう止まらないIntelの買収攻勢,今度は光通信LSIのGIGAを12億5000万ドルで
インテル,2000年はネットワーク関連事業に期待

[発表資料へ]