米3Comが米国時間4月23日に,パソコン向け接続機器事業およびネットワーキング事業を本体から分離する事業の再編策について明らかにした。

 Ethernetなどパソコン向け接続機器事業部門を「3Com Business Connectivity Company」,ネットワーキング部門を「3Com Business Networking Company」として,3Com社の傘下に置く。

 3Com社は2000年12月にCarrier Networks Business事業をスピンオフしてCommWorks社を設立しており,今回発表された二つの新会社の経営はCommworks社をモデルとする。CommWorks社はIPベースのデータ/音声通信技術や広帯域通信システムを手掛ける企業である。

 これにより3Com社は本体の規模を縮小し,傘下に3部門を置く新体制となる。3Com社の2002会計年度がスタートする2001年6月4日付けで移行する。人事や財務,システム管理,法務などは3Com社の本体に集約する。

 「3Com Business Connectivity Company」はデスクトップ機やモバイル機器,PCサーバーなどに向けたGigabit Ethernetや無線通信製品などに注力する。「Uniersal Access Platform」と呼ぶ技術をベースとした接続機器やサービスを提供する。3Com社E-Business and Information Technology部門担当上級副社長のDennis Connors氏が社長として統括する。

 「3Com Business Networking Company」は,LAN向けスイッチや無線通信向けインフラ技術,IP PBXベースの音声通信ソリューションなどを企業向けに提供する。「Universal Services Platform」と呼ぶネットワーク管理技術をベースにした製品やサービスを提供する。3Com社World Wide Operations部門担当上級副社長のJohn McClelland氏が社長に就任する。

 3Com社は今回発表した事業再編を遂行するメリットを以下のように説明している。

・事業部門の規模を縮小し,独立させることで,機敏に運営可能な体制とする。競争力を高め,顧客サービスの質を向上できる。

・各部門は独立した新会社となることで,より積極的な事業戦略の追求が可能となる。競争力の高い製品の迅速な投入を目指す。

・各部門が個々に戦略パートナーシップを構築・展開することが可能となる。

・各部門の事業や財務について,透明性が高まる。

 3Com社は3月21日(米国時間)に,総額10億ドル規模のリストラ計画を発表しており,今回のスピンオフはこの事業再編策の一環となる。同社は2002年度末までに,人員/コスト削減で2億5000万ドル,広帯域モデム事業の再編やインターネット・アプライアンス事業の廃止など消費者向け事業のリストラで2億5000万ドル,経営資産の利用効率改善で5億ドルを削減する計画である。人員削減は全従業員の13%にあたる約1200人で,すでにこれらの削減策を実行開始している。

 3Com社は2001年1月~3月期(同社の2001会計年度第3四半期)決算で1億2280万ドルの純損失を計上,赤字幅が拡大している。

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