米IDCが米国時間4月23日に,日本を除くアジア太平洋地域の企業間電子商取引市場に関する調査結果を発表した。同地域の企業間電子商取引市場は今後5年間にかつてない速度で成長するという。2005年には,企業がインターネットを介して購入する直接・間接資材は総額5160億ドルを超えるとみる。

 2000年の市場規模は128億ドルだったので,3900%以上の急成長を遂げることになる。

 アジア太平洋地域における企業間電子商取引市場の年平均成長率は109%で,米国市場のそれをはるかに上まわる。米国の市場規模は,1170億ドルから2005年には1兆6000億ドルに拡大するとみられ,年平均成長率は68%程度である。

 世界の企業間電子商取引市場のうち,アジア太平洋地域が占める割合は2000年の5%から2005年には12%に拡大する。これに対し,米国のシェアは41%から36%に縮小する。

 「アジア太平洋地域の市場成長を牽引するのは伝統的な小売り企業である」とIDCは分析する。

 「アジア最大級のコングロマリットはすでに企業間電子商取引への投資を行っている。これらの“オールド・エコノミ”と呼ばれる企業は,ニュー・エコノミーでも“オールド・エコノミーの法則”がまだ通用することに気づいている」(IDC,アジア太平洋事業部門B2Bインターネット調査マネージャのRichard Jacobson氏)。

 インターネットへ移行する伝統的小売企業の急増により,IT企業にとっての可能性も大きく広がる。「悲観的な見方にとらわれ,この市場に目を向けない技術プロバイダは事業機会を逸してしまうだろう」(同氏)。

 アジア太平洋地域における強い生産能力と輸出型経済構造も,企業間電子商取引の普及を加速する要因である。規制緩和により市場競争が高まり,企業は生き残るために改革を進める。「多数の企業が企業間電子商取引によりもたらされる恩恵を理解し,競争力の取得と維持を図るだろう」(同氏)。

 しかし,セキュリティ問題,企業間電子商取引の効果に関する認識不足,変化に対する反発といった多くの課題を克服する必要があるとIDCは指摘する。

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