「2000年における世界の無線LAN機器市場は売上高ベースで80%成長し,11億ドル規模に達した。2005年末までには32億ドル規模に成長する」。米International Data Corporation(IDC)が米国時間4月17日に,調査結果を発表した。

 「企業では,外出先はもちろん,社内でもモバイル接続に対する需要が旺盛で,無線LAN市場を大きく押し上げている。空港やホテル,コンベンション・センターなどでのアクセス・ポイント設置も進んでおり,ストックホルムからシンガポール,ニューヨークに至るまで,世界中を結ぶネットワークの構築が進んでいる」(IDC,Enterprise Networks部門アナリストのJason Smolek氏)。

 教育関連,小売業,ヘルスケア関連などの垂直市場で需要が特に大きいとIDCは指摘する。また広帯域接続サービスの成長と絡んで,家庭や中小企業での無線LAN導入が今後数年間で大きく進むという。地域別では,米国以外の地域での伸びが大きく,特に欧州と日本で著しい。

 2000年の無線LAN機器市場をベンダー別にみると,米Proximが出荷台数ベースで28%強のシェアを獲得し,首位に立っている。2位は米Symbol Technologiesで,3位が米Lucent Technologies。インフラ関連では米Cisco Systemsが市場を制しており,家庭向けや中小企業向けの市場では米3Comが急速にシェアを拡大している。

 IDCは,無線LAN市場は大きな成長が見込めるとしながらも,ベンダー企業には取り組むべき課題もあると指摘する。IDCは具体的な課題として,「標準技術の策定」「パートナー企業向けトレーニングの拡充」「セキュリティの向上」「(無線LANが市場における主流となるよう)価格を下げる努力」の4点を挙げている。

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