米Red Hatが米国時間4月16日に,Linuxディストリビューションの新版となる「Red Hat Linux 7.1」の提供を始めたことを明らかにした。カーネル2.4を取り込み,x86ベースのSMP(Symmetric Multiprocessor)性能を大幅に向上させた。

 このほか,BIND(DNS),WWW,プリント・サーバーのセットアップや管理を簡易化するコンフィギュレーション・ツールを提供する。「Red Hat Linux 7.1」の主な機能は以下の通り。

・カーネル2.4により,プロセス論理空間を2Gバイトから4Gバイトに拡張する。PCIバスの制約も取り払った。スケジューラのアップデート版を搭載したほか,デバイスのサポートやマルチスレッド・ネットワーク・スタックなども向上させた。

・エラーの警告(Errata Alert)やRPMアップデートを自動通知する「Red Hat Network Software Manager」を提供する。

・セキュリティ機能「Heightened Security」。デフォルトで,ポートをオフにし,インターネット・ユーティリティを無効状態にしておく。ファイアウオールもユーザーが機能のオン/オフの切り替えなどカスタマイズしやすいように,画面表示を刷新した。

・インストーラの機能拡張。グラフィックス・ベースのコンフィギュレーション・ツール「Kickstart」を用意。ノート機での利用も視野に入れる。

・GNOMEインタフェースのローカライズ版を拡充。日本語,スペイン語,ドイツ語,イタリア語が利用可能。

・「Desktop Functionality」機能。GNOME & KDEのアップデート版など。

・XFree86 4.0.3インタフェースで,2次元と3次元のグラフィックスに対応。

 スタンダード版,デラックス版,プロフェッショナル版の3種類を用意した。各版の詳細は以下の通り。

・スタンダード版
 30日間のWWWサポートおよび30日間のRed Hat Network Software Managerの利用(1システム)。39ドル95セント。

・デラックス版
 60日間の電話サポート,WWWサポートおよび60日間のRed Hat Network Software Mangerの利用(5システムまで)。79ドル95セント。

・プロフェッショナル版:
 90日間の電話サポート,WWWサポートおよび90日間のRed Hat Network Software Managerの利用(10システムまで)。Software RAID ConfigurationおよびApache,BINDコンフィギュレーションを含む。179ドル95セント。

 なお米Dell Computerと米IBMのハードウエア・ベンダー2社が同日,「Red Hat Linux 7.1」を搭載した製品を出荷することを明らかにしている。

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