米Jupiter Media Metrixが米国時間4月12日に,企業におけるストリーミング・ビデオの利用に関して調査した結果を発表した。

 それによると,企業がストリーミング・ビデオの利用にかける費用は2000年の1億4000万ドルから2005年には28億ドルに増加するという。当初は,従業員同士のコミュニケーションに向けた利用が市場の成長を牽引するとしている。

 ストリーミング・ビデオ技術を導入している企業の90%が,社内のコミュニケーションを効率化し,より多くの従業員がほぼ同時に連絡を取れるようにするために同技術を利用していると回答した。役員挨拶,販売トレーニング,社内ミーティングといった社内コミュニケーションでストリーミング・ビデオが利用されるようになれば,企業間(BtoB)コラボレーションなどの社外コミュニケーションにも利用が広がるとJupiter社は分析する。

 「既にストリーミング技術を導入しているユーザーは,新たな販売プログラム,製品やサービスに関する社員教育など,重要な社内コミュニケーションに同技術を利用して生産性の向上を図っている。全社にストリーミング・ビデオを配信すれば,出張費が削減できるだけでなく,新しいプログラムや製品の内容をより迅速に伝えることができる。社内利用で成功した企業は次の段階で,パートナや顧客に対してもストリーミング・ビデオを配信できるようなソリューションを求めるようになるだろう」(Jupiter社上級アナリストのDavid Rader氏)。

 その他の主な調査結果は以下の通り。

●企業のストリーミング・ビデオに関する支出を用途別でみると「社内発表」が最も多く,2001年における支出額は8000万ドル。しかし,2005年には「製品発表」と「マーケティング」が5億6700万ドルとなり,最も高額が費やされる。同期間に,「販売トレーニング」への利用も急速に伸びるとみる。

●ライブとオン・デマンドのストリーミング・ビデオへの支出は現在ほぼ同額である。しかし,2005年にはオン・デマンド向けの支出が市場全体の65%を占め,19億ドルに達する。各地に分散する社員とコミュニケーションをとるニーズが高まっており,トレーニング・アプリケーションの急成長がオン・デマンド・ストリーミングの成長を促進している。

■社内におけるストリーミング・ビデオ技術の用途

用途              ストリーミング・ビデオ技術を     ストリーミング・ビデオ技術を
                        使用している企業          18カ月以内に導入する予定の企業
役員挨拶                     48%                                16%
社員教育                     35%                                29%
販売トレーニング             32%                                26%
社内ミーティング             32%                                32%

出典:Jupiter社
■社外におけるストリーミング・ビデオ技術の用途

用途              ストリーミング・ビデオ技術を     ストリーミング・ビデオ技術を
                         使用している企業          18カ月以内に導入する予定の企業
製品発表                     29%                                35%
BtoBコラボレーション         23%                                39%
顧客トレーニング             23%                                39%
顧客サービス                 13%                                45%
決算報告                     29%                                16%

出典:Jupiter社

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