米Motorolaが米国時間4月6日に,同社が資金難に陥っているとするアナリスト・レポートを強く否定する声明を発表した。

 米シカゴのアナリストCarol Levenson氏が,「Motorola社が発行している短期約束手形は2000年末時点で64億ドルに達しており,同社は深刻な資金難に陥っている」とする報告書を発表したため,市場でうわさが広がった。Motorola社の株価は前日の終値14ドル95セントから一時10ドル50セントまで大きく下落したため,Motorola社が急きょ声明を発表したもの。

 同社が声明を発表したのは取引終了の20分前。声明の概要は以下の通り。

 「当社は2001年第1四半期の期末日に,同日時点で44億ドル相当の流動資産があり,手形の総額は41億ドルとの発表を行っている。今日4月6日時点の流動資産は45億ドル,手形は31億ドルに減っている」。

 「Motorola社の経営は健全な状態にあり,当社が資金難などとする発表は事実に反している。経営陣が一丸となってバランス・シートおよびキャッシュ・フローの改善に取り組んでいる」。

 「管理強化により,2001年には売掛金の額も減額できる見通しである。また,サプライ・チェーン・マネジメントの強化により在庫の削減が進むほか,2001年の投資回収率は前年を上回る見込みである」。

 「複数の携帯電話事業者から合計10億ドル強の受注があったほか,メキシコの業者からも18億ドル規模の受注があり,第3四半期までに支払いを受ける予定である」。

 Motorola社は4月11日に,第1四半期決算(速報)の発表を予定している。

 なお,通信大手の米Lucent Technologiesも4月4日(米国時間)に「経営難否定」の声明を発表している。同社CFO(最高財務責任者)のDeborah Hopkins氏は「当社には65億ドルの信用供与枠があり,リストラ策を実施するのに十分な資金が与えられている」として,同社が破産法の適用申請を準備しているとする市場の憶測を強く否定した。

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