(2001.4.3,Mary Mosquera, InternetWeek)

 判事が米Napsterに「堅気の商売を」と言ったかどうかはともかく,オンライン音楽サービス問題の焦点は新たな段階へと移っている。

 提供されるサービスは,技術的に複雑なものでなく,楽曲の著作権をきちんと保護し,確固としたビジネス・モデルに基づくもので,かつ消費者が求める全楽曲をカバーするというものでなければならない。

 米国時間4月3日に上院司法委員会(Senate Judiciary Committee)の公聴会が行われ,オンライン音楽サービスの展開について,関係主要企業の幹部らがそれぞれの立場から証言を行った。証言を行ったのは,米EMI Groupなどのレコード会社,Napster社,米Liquid Audio,米AOL Time Warner,アーティストのAlanis Morissette氏,Don Henley氏。

 それぞれ「将来的に発展が期待できるオンライン音楽サービスのビジネス・モデル構築に向け,当社は力を尽くしている」と主張し,「解決策を生み出すためには,相手側が歩み寄るべき」とした。

 同委員会の委員長を務めるOrrin Hatch氏(ユタ州上院議員/共和党)は,「インターネットを介した音楽のダウンロード・サービスは,レコード会社が抱える楽曲の所有権保護が困難になるという問題にとどまらず,デジタル音楽の著作権管理技術,ユーザーの使用権,アーティストへの報酬,著作権に絡むセキュリティ,さらには市場における競争といった点にも及ぶ問題である」と語る。

 同委員会の委員らのコメントによれば,具体的な解決策については,「技術的に優れていること」と「インターネットでの音楽配信に関し,法律上の様々な問題点をクリアしているビジネス・モデルであること」の2点を満たす必要があるという。

Copyright(c) 2001 CMP Media Inc. All rights reserved.

[記事へ]

◎関連記事(IT Pro注)
<ファイル交換サービス関連>
■米AOL,独Bertelsmann,英EMI,米RealNetworksがデジタル音楽配信で新会社
■「ピア・ツー・ピア型ファイル交換のビジネスモデルは不滅」と米ガートナー
■米IBMが音楽配信システムEMMSを拡張,ピア・ツー・ピア型にも著作権管理の網
■制御できないコンテンツ流通,2005年に音楽/書籍産業の損害額は46億ドルに
■Visiosonicが“Napster型”の新たな無償音楽配信システムを発表
■「ネット介したファイル交換サービス,利用者の28%は違法と認識」と米調査
■「無料音楽配信サービスにはいずれ規制の網」,英社がユーザ意識調査

<Napster関連>
■米ナップスターが楽曲フィルタ・システムを強化,CDデータベース企業と提携
米ナップスターは制限付きで営業可能に,地裁が仮処分命令下す
米ナップスターが妥協策を発表,無料のファイル交換サービスを中止へ
Napster裁判の“歴史的”意義を考える,21世紀の技術開発に一石
米ナップスターが“解決策”,著作権管理の仕組みをファイルに組み込み
【TechWeb特約】連邦控訴裁が「Napsterは著作権侵害を助長」と判断
30%のパソコン・ユーザーがNapsterを利用---米調査会社のデータ
ナップスター・ユーザーの行動パターン,慣れるほどCD購入は減る傾向に
Napsterが連邦高裁に控訴,ユーザにCD購入を呼びかけるキャンペーン開始
どこへ行くNapster,せき止められぬファイル交換ソフトに勢い
レコード協会と米音楽出版協会が,差し止めを求めNapsterを提訴

<ストリーミング音楽関連>
「広帯域ユーザーは広帯域接続向けメディア・アプリケーションを大いに利用」と米Excite@Home
ストリーミング・メディア配信サーバー市場は2005年に約14億ドル規模に
「米国のストリーミング・メディア視聴が65%増の3500万人に」と米ニールセン
サン,シスコ,アップルなど,ストリーミング標準化で業界団体「ISMA」設立
EMIが有料ストリーミング・サービスのベンチャーに音楽コンテンツをライセンス
BMGがデジタル音楽配信サービス計画,IBM,Microsoft,Liquidなどと提携