米Strategis Groupの欧州部門が英国時間4月2日に,「欧州の固定無線アクセス市場が大きく成長し,2006年には86億ドル規模に達する」とする調査結果を発表した。

 Strategis社によれば,無線事業者は都市部の商業地区などに焦点を当て企業ユーザーの取り込みによる収入増をねらうことから,今後も企業ユーザー向けのカテゴリが市場の中核となる。2006年に欧州15カ国を合わせた企業向けサービスの売上高は62億ドルを超える規模になると同社は予測する。家庭向けは24億ドルである。

 欧州市場の固定無線サービス事業者はIonica社のWLL(Wireless Local Loop:無線ローカル・ループ)事業が失敗したことなどもあり,戦略を大きく転換しているという。Strategis社欧州部門のディレクターであるJake Saunders氏は,「固定無線事業者はインフラ投資を極力抑えながら最大限の利益を挙げるために,顧客を“選り好み”する戦略を取り始めた」と指摘する。

 Strategis社によれば,2003年後半もしくは2004年前半までには,顧客向けの機器が高価であることなどといった供給面での様々なボトルネックが解決されるとみる。こうした段階を経て,常時接続や広帯域接続,信頼性の高いサービスなどへの需要が高まるとしている。

 「光通信やケーブル・モデム接続サービスの提供力がまだ十分でないため,無線接続サービスに大きな事業機会がある」(Strategis社)。

 なおStrategies社は,固定無線広帯域アクセス・サービスの世界市場について,「市場は急速に拡大し,2004年には売上高ベースで160億ドル規模に成長する」との予測を2000年6月に発表している。

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