スウェーデンのEricssonが現地時間3月12日に,2001年第1四半期の業績が事前の予測を大幅に下回り,4億1000万ドルから5億1200万ドル規模の損失(税引き前)を計上する見通しであることを明らかにした。売上高も事前の予測「15%増程度」を大幅に下回り,ゼロ成長か若干のマイナスになるという。

 さらに携帯電話機事業も,前年同期に比べ大幅に落ち込むとしている。

 同社は2001年1月末に発表した2000年第4四半期の決算報告のなかで,「システムの売り上げは好調であるものの,携帯電話機販売の低迷が2001年第1四半期も続き,同四半期の売上高は前年同期比15%増程度,税引き前利益はほぼゼロになる」との見通しを発表していた。

 「経済の失速がIT業界全体を直撃しており,とりわけ米国市場が厳しい。景気の先行き不透明感から,IT投資を先延ばしする顧客が増えており,特に米国でその傾向が強い。さらに欧州など米国以外の地域でもIT投資に大きな陰りが出てきており,こうした現状が当社の業績を直撃している」(Ericsson社)。

 同社は業績悪化の原因として,携帯電話機販売の不振(価格低下や買い換え需要の低迷)に加え,第3世代向け技術の研究開発費やインフラ投資などが大きいことを挙げている。なお,携帯電話機事業については,撤退して米Flextronicsに製造委託することをすでに発表している

 Ericsson社ではこうした経営環境の悪化から,消費者向け製品事業を中心に大規模なリストラを進めており,すでにMobile Systems部門などで新規雇用を凍結している。「さらなる経営効率の改善を急ぎたい」(Ericsson社)。

 なお,この業績大幅下方修正を受け,同日Nasdaq市場でのEricsson社の株価は8ドル3/8セントから25%下落し,6ドル9/32セントと大幅に下げた。2001年第1四半期の正式な決算発表は4月20日を予定している。

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http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/USNEWS/20010310/5/
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