米IBMは米国時間5月22日に,SOI(silicon-on-insulator:シリコン/絶縁膜構造)と銅(Cu)配線技術を採用したマイクロプロセサを搭載するサーバ製品系列「AS/400e」を発表した。

 SOIは絶縁膜の上にSi単結晶の層を設け,寄生容量を減らす技術。高速で消費電力の小さい半導体を製造できる。ただし製造工程が複雑なためコスト面で問題があり,人工衛星やミサイルなど,コストをさほど問題としない用途で使われていた。同社は98年8月に,高速SOIプロセスの量産技術を確立したと発表していた(「IBMが高速SOIプロセスの量産技術を確立,性能が35%増,消費電力は1/3」を参照されたい)

 IBM社は,SOI技術によりマイクロプロセサの性能を20%~30%高めたという。とりわけAS/400eのハイエンド機「840」は従来製品に比べ性能が3.6倍向上するなど,「SOIはAS/400製品系列の性能向上に大きく貢献した」(IBM社)。サプライ・チェーンやCRM(customer relationship management),サーバ・サイドJava,Dominoといった複雑な企業間(B2B)アプリケーションの処理に向くという。

 AS/400eはXML(eXtensible Markup Language)に対応する。携帯電話やハンドヘルドといった機器機器との連携を見据える。例えば販売担当者が「WorkPad」などのPDA器機からAS/400eにアクセスし,商品在庫や発注などが行える環境を提供する。

 AS/400e 800製品系列およびOS/400 V4R5の出荷は今年8月を予定する。

 また年内にも「RS/6000」サーバにSOI技術を取り入れる予定である。このほかPOWER4プロセサにも採用し,これを次世代のAS/400とRS/6000に搭載する計画であることを明らかにした。なおPOWER4には,誘電率の低い絶縁膜材料(low-k)を使い,性能向上や高集積化,消費電力低減を図るうえで障害となっていた配線間のクロストークを抑える技術も用いる(詳細は「IBM,マイクロプロセサを30%高速化できる半導体技術を開発」を参照されたい)。

 このほかIBM社は中小企業向けのエントリ・レベル機「AS/400e 270」とLotus Domino専用機「Dedicated Servers for Domino」の新製品も発表した。これに伴い従来機種である「AS/400 700」の値下げや800製品系列へのアップグレードなどについても発表を行った。

[発表資料]