米Gartner GroupのDataquest社が米国時間3月8日に,DRAM市場に関し「パソコン用メモリーのRambus DRAM対DDR(Double Data Rate) DRAM戦争は今年いっぱい決着がつかない」との見通しを発表した。

 2000年のDRAM市場では全体の75%がパソコン向けだった。ここ数年にわたり,パソコンの需要拡大や半導体製造技術の進歩などで周波数競争が激化しているが,現状ではマイクロプロセサの性能にバスが追いついていない。つまりマイクロプロセサが必要とするデータ転送速度1.6Gバイト/秒以上という性能を満たせていない状況である。

 こうしたボトルネックを解消しつつ,システムの性能を高めようと米IntelはRDRAM対応,米Advanced Micro Devices(AMD)はDDR DRAMへの対応を進めている。Intel社はPentium 4プロセサにRambus Inline Memory Modules(RIMMS)をバンドルし,RDRAMをサポートしている。

 「DRAMベンダーは“Intel社とRambus社向けLSIのファウンドリ”に成り下がるまいとDDRに傾いてきている。DRAM技術の移行に関し“不測の事故”や“総崩れ”などの事態を避けるためにも,DRAMベンダー企業は業界団体を結成するなどアライアンスを組み,技術のロードマップを一本化すべき。もちろんこの業界団体にはIntel社とAMD社も参加すること。ベンダー間での争いや訴訟などを避けるため,意思決定プロセスに透明性をもたせることも重要」(Dataquest社半導体部門担当主席アナリストのRichard Gordon氏)。

 DRAM市場は今後2~3年のあいだに技術面での細分化が進んでいくとDataquest社はみる。「DRAMベンダーはRambusとDDR両方をカバーし,市場の動向にあわせてどちらの量産にも対応できるよう柔軟性のある体制を整えておく必要がある」(同社半導体部門担当シニア・アナリストのAndrew Norwood氏)。

 なおDRAM市場に関しては,米International Data Corporation(IDC)も米国時間3月2日に予測を発表している。同社によれば,「DRAM市場は2001年に急激に落ち込む。価格は46%下落し,売上高ベースで前年比18%減の238億ドル規模に縮小する。市場の落ち込みは予想以上の速さで進み,今年いっぱい,さらに2002年も売り上げは伸び悩む」という。

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<市場>
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