米Jupiter Media Metrixが米国時間3月6日に,米国のモバイル・インターネット市場に関する調査結果を発表した。

 2000年における米国の無線WWWユーザーは410万人だったが,2005年には9600万人に増加するという。しかし「無線業界は,米国におけるモバイル向けインタラクティブ・サービスを,状況に応じて適宜調整しなければならない」とJupiter社は忠告する。たとえばバンド幅の制限,複数サービス・プラットフォームの存在,サービス・プロバイダの競争といった問題はすぐに解決することはないとしている。

 「無線業界は競争の激しい環境でWWWサービスを提供する複雑さを過小評価してはならない。モバイル向けマルチメディア配信などの計画はひとまず控え,ショート・メッセージングや位置情報サービスなどシンプルで実用的なインタラクティブ・サービスの提供に焦点を当てるべきだ」(Jupiter社上級アナリストのSeamus McAteer氏)。

 その他の主な調査結果は以下の通り。

・2005年における米国モバイル・ユーザー(9600万人)の内訳は,音声通信向け携帯電話機ユーザーが7490万人,データ通信向け携帯電話機が730万人,オンラインのPDAが440万人,オフラインのPDAが940万人。

・米国の地域通信事業者は,全国展開している通信事業者との競争に直面し,その数は5年のうちに大手3社まで減少する。同時に携帯電話機分野における激しい競争の結果,通信事業者はモバイル・コンテンツ向けプラットフォーム全体にわたる支配力を強める。しかし,米国通信事業者が日本市場の通信事業者ほどの勢力を持つことはない。

・第3世代(3G)ネットワークの見通しは明るいが,3Gサービスが短期間のうちに実現することはない。その代わり米国市場では狭帯域接続やパケット・データ・サービスなどの利用が高まる。広帯域無線接続は2年以内に日本で広まるが,米国と欧州では4~6年のうちに普及することはない。

・米国における位置情報サービスの普及には少なくとも2年を要する。911番(米国の緊急通報用電話番号)への詳細な場所指定機能を備えるよう,連邦通信委員会(FCC)が求めているためである。欧州の大手通信事業者は,おおまかな位置データを利用した緊急通報機能のプロモーションを2002年に始める予定である。

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