米Intergraphと米IntelがRISCチップ「Clipper」の特許権を巡って争っている控訴審で,米国時間3月1日にアラバマ州の連邦控訴裁判所が「Clipperの特許については,全ての権利をIntergraph社が独占的に所有する。Intel社はこれを使用する権利を持たない」との判断を下した。Intergraph社が同日発表したもの。

 この裁判は1997年11月17日にIntergraph社がIntel社を不法行為,特許侵害,独禁法違反の3点で提訴したもの。Intel社は,Clipperの開発元Fairchild Semiconductor社をIntergraph社とともに買収した米National Semiconductor(NS)とクロスライセンス契約を1987年に結んでいた。このクロスライセンス契約をもとにIntel社は,「Clipperの特許もNS社との契約に含まれている」と主張した。また,Intergraph社はClipperを開発したFairchild社Advanced Processor部門を買収している。

 1999年6月にアラバマ州北地区連邦地裁のEdwin Nelson判事は,「Intel社とNS社のクロスライセンス契約には子会社は含まれておらず,Intel社はFairchild社の合意がなければClipperの特許ライセンスを得られない」として,「Intel社は特許を使う権利をもたない」との判断を示した。

 しかし,同年10月の裁判では一転して「特許権を管理しているのは米National Semiconductor(NS)であり,Intel社は1976年にNS社とのクロスライセンス契約によって特許の使用権を得た。よって,Intel社はIntergraph社の特許を使う権利をもつ」(同判事)として,判断が完全に覆った格好となっていた。

 今回の判決は,Intergraph社が控訴裁に上訴していたもの。Intergraph社によれば,Nelson判事は「契約書や文書などに,Intel社の主張を裏付けるものは一切見当たらず,Intel社の解釈は不当に曲解していると言わざるを得ない」と判断,再び逆転した。

 「クロスライセンス契約を盾にしたIntel社の主張は退けられ,大変満足だ」(Intergraph社)。

 独禁法を巡る裁判では,Intergraph社が「Intel社はマイクロプロセサでの独占的地位を使って,Intergraph社を市場から排除した。Intel社の将来製品の情報を故意に提供しなかった」と主張している。この裁判では米国時間3月5日に公聴会が行われる予定。

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