(日経バイト,1998.04.14)

 米Intergraph社が米Intel社を独占禁止法違反で訴えていた裁判の判決が98年4月10日,アラバマ州の地方裁判所で下され,Intel社が敗訴した。

 この裁判は97年11月17日,Intergraphが起こしたもの。Intergraphは,IntelがCPUで独占的地位を得ていることを利用して同社を排除しようとしていると訴えていた。Intergraphは以前ClipperというRISCプロセサを開発していたが,現在はプロセサ・ビジネスからは手を引いている。Intelは97年に,Intergraphが所持している特許の使用権を払わずにすむように同社とクロス・ライセンスを結ぼうとした。だが,プロセサから手を引いたIntergraphにとってIntelの特許の使用権を得ることは意味がなく,話し合いは平行線のまま終わった。

 Intelは通常,OEMメーカとNDA(non disclosure agreement)の契約を結び,情報を外部に公開できないようにして新しいプロセサの情報を渡している。ところが,上記の話し合いの後,IntelはIntergraphとNDAの契約を結ばないなどの措置に出た。そこでIntergraphは,現状ではIntel以外に同等のマイクロプロセサを作れるメーカがなく,ほかに選択肢がない状態でそのような措置に出るのは独占禁止法違反だとして訴えていた。

 判決はIntergraphの主張を全面的に受け入れたもので,Intelは今後,Intergraphの(1)あらかじめプロセサの情報を渡す,(2)チップのサンプルを渡す,(3)初期ロットのチップを渡す,(4)製品を渡す,といった権利を守らなければならない。

 この判決は,Intelが独占的地位を得ていることと,他にプロセサの選択肢が事実上ないことを,裁判所が認めた点で重要である。