米Gartner Group Dataquestが米国時間2月28日に,2000年における世界通信機器メーカーに関する調査結果を発表した。2000年の上位8社は1999年と同じ顔ぶれだが,戦略の違いから順位に変化が起こったという。上位メーカーのほとんどが,売上高ベースで2000年に2ケタ成長をみせたが,2001年は多くの課題に直面すると同社はみている。
「2001年はサービス需要の低下,ネットワークやアプリケーション投資の削減や見送りが起こる。企業ネットワーク改善には,買い換えではなく一時的措置で済ませるようになる。また顧客の倒産も考えられる」(Dataquest社worldwide Telecommunications and Networkingグループ副社長のDean Eyers氏)。
スウェーデンのEricssonは4年間2位に甘んじていたが,第3世代(3G)携帯電話機システムへの大きな投資が功を奏し首位に立った。カナダのNortel Networksは1999年の3位から2位に順位を上げた。急成長する光市場での好調な業績が要因と,Dataquest社では分析する。
フィンランドのNokiaはモバイル端末事業が牽引し大きく伸びた。しかし,今後数年間は弱含みだとDataquest社は予測する。米Lucent Technologiesは米Avayaのスピンオフが原因で首位から4位に落ちた。上位8社のうち最も成長したメーカーは米Cisco Systems。しかし戦略を変更しなければ,中核事業で同じ勢いの成長は望めない,とDataquest社は指摘する。
米Motorolaはモバイル事業が好調だったが,主要市場でのシェアを失いつつある。ケーブル・インフラやローエンド向けデータ製品分野での地位は維持するが,モバイル分野は弱含みである。フランスのAlcatelはDSL関連が武器となり大幅な伸びをみせた。コア・ルーティングや光製品も成長の要因となった。ドイツのSiemens AGは1999年の5位から6位に順位を下げた。同社は経営とモバイル事業への注力を図り,大規模な再編成策を実施した。
■2000年における世界通信装置メーカ上位8社の業績(速報値/単位:10億ドル)
企業 | 2000年の売上高 | 1999年の売上高 | 売上高ベースの 成長率(%) |
現地通貨ベースの 成長率(%) |
|
Ericsson | 31.3 | 25.7 | 21.5 | 34.9 | |
Nortel | 30.3 | 21.3 | 42.2 | 42.2 | |
Nokia | 27.2 | 20.1 | 35.4 | 57.0 | |
Lucent* | 25.8 | 33.8 | -23.5 | -23.5 | |
Cisco | 23.9 | 15.0 | 59.3 | 59.3 | |
Siemens** | 22.8 | 20.0 | 14.5 | 32.5 | |
Motorola | 22.8 | 19.7 | 15.3 | 15.3 | |
Alcatel*** | 21.6 | 17.1 | 26.6 | 46.8 | |
合計 | 205.7 | 172.7 | 19.1 | - |
* Lucent社の2000年の数字にはAvaya社を含まない。Avaya社を含めた場合は332億ドル。
** Siemens社の1999年の数字は,為替レートが更新したため再計算した。
*** Alcatel社の1999年の数字は,部品事業部門を含まない業績を再計算した。
出典:Dataquest社
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