AT&Tの高速通信およびCATV事業部門であるAT&T Broadband社と米Charter Communicationsが米国時間2月28日に,両社のケーブル・システムを相互に売買しあうクロス取引で,最終的な合意に達したことを明らかにした。

 AT&T Broadband社は,Charter社が拠点を置くミズーリ州St. Louis地域をはじめ,アラバマ州Auburn,Birmingham,Montgomery,Selma,ネバダ州Reno,カリフォルニア州の4州のケーブル・システムをCharter社に売却する。また,フロリダ州MiamiおよびSebastian地域のケーブル・システムをCharter社から2億4900万ドルで買収する。

 AT&T社が売却する4州のCATVサービス加入者数は57万4000世帯。買収するフロリダ州の加入者数は6万2000世帯。

 AT&T Broadband社はCharter Communications社より,売却金額と買収金額の差額となる17億9000万ドルの支払いを受ける。支払いは,最大5億ドル分をCharter社の株式で,残額がキャッシュとなる。

 なお,AT&T Broadband社は前日の2月27日にも,米Mediacom Communicationsに,ジョージア州,イリノイ州,アイオワ州,ミズーリ州(Columbia,Jefferson City,Springfield地域)のケーブル・システムを売却することで両社が最終合意したと発表している。(発表資料)売却金額は22億1500万ドル。キャッシュで支払われる。Mediacom社は,この買収により全米で第8位のCATV事業者となる。

 AT&T社は,Mediacom社への売却手続き,およびCharter社との売買手続きについて,ともに2001年第2四半期か第3四半期の完了を予定している。

 AT&T側は,「当社では,大都市でのサービスに注力する戦略を推し進めており,Mediacom社,Charter社への売却,(マイアミなど)フロリダ南部地域の買収は,この戦略の一環となるもの」(AT&T Broadband社,社長兼CEOのDan Somers氏)。一方,Charter側は,「これでSt.Louis地域のCATVサービスの加入者はほぼ全て当社の顧客となる」(Chater社)としている。

 Charter社は約640万世帯の顧客を抱える。CATV事業をはじめ,先端デジタル・ビデオ・サービス「Charter Digital Cable」,高速インターネット接続サービス「Charter Pipeline」などを提供している。AT&T社との売買取引によりサービスの提供地域を拡大し,全米で20位以内に入る。

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