米TechTrendsは米国時間2月27日に,パーソナルTVサービスに関する調査結果を発表した。

 米TiVoや米MicrosoftのようなパーソナルTVサービス・プロバイダは,毎月のサービス料金を高く設定しているために新規ユーザーの獲得が難しく,将来苦戦を強いられると予測する。またデジタル・セットトップ・ボックス(デジタルSTB)やデジタル・ビデオ・レコーダ(DVR)の価格,およびパーソナルTVサービス料金は,消費者から見てまだまだ高いため,広く普及するまでにはしばらく時間がかかるとみる。

 DVRは1998年に市場に登場して以来,ある程度の成功を収めている。しかし,オランダのPhilipsやソニーなどがハードの価格を60%も下げたにもかかわらず,DVRは家電市場での大きなシェアを占めるには至っていない。

 DVR販売のパイオニアであるTiVo社と米ReplayTVは,同じような製品に関して大きく異なる価格設定を行なっている。TiVo社は30時間録画可能なDVRユニットを400ドルで提供しているのに対して,ReplayTV社は600ドルである。TiVo社のサービス料金は月額9.95ドルあるいは一括払いで199ドル(期間は無制限)。これに対しReplayTV社は,期間無制限のサービス料金をハードウエアの価格に含めている。

 Tivo社のハードウエア(STB)がReplay社の3倍も売れているのは,この価格設定のためだとTechTrends社は分析する。

 TechTrends社によると,双方向TVサービス,タイムシフト視聴,パーソナライズTVサービスなどに対応するSTBに対して300ドル以上を支払ってもよいと考えている消費者は,わずか3%に過ぎない。したがって上記のような価格設定では消費者に受け入れられないと,同社はみる。

 またTiVo社が設定しているサービス料金の月額9.95ドルについては,毎月9ドル以上の料金を支払うのは止むを得ないとしている消費者は6%しかいないことから考えて,このサービス料を今後も維持するのは難しいと予測する。

 結局,300ドル以上でハードを購入し,毎月9ドル以上のサービス料金を支払う消費者はわずかに1%に満たない。TiVo社のような現在の価格設定では将来性がないとTechTrend社はみる。TechTrends社は,パーソナルTVサービス市場は現状の価格設定を続ける限り,TiVo社の現在のユーザー数である15万人の3倍の50万人程度に留まるだろうとみている。

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[発表資料]