「司法省との係争は,クライアントOSやサーバーOS市場におけるMicrosoft社の勢力を弱めるような影響はまったく及ぼさなかったようだ」とする調査結果を,米IDCが米国時間2月27日に発表した。

 IDCの調査によると,Microsoft社のWindowsは2000年に出荷したサーバーOS全体の41%を占めたうえ,クライアント(デスクトップ)OS分野では92%ものシェアを獲得したという。

 「Windows 2000への移行という難しい年にありながら,Microsoft社はクライアントとサーバーOSの両市場で勢力拡大を成し遂げた」(Dan Kusnetsky氏)。

 サーバーOS市場では出荷本数が増えただけでなく,伸び率も市場の平均を大幅に上まわった。2000年のサーバーOS市場全体の平均増加率は13%に満たなかったのに対し,Microsoft社製サーバーOSの出荷本数は20%増加した。唯一伸び率でMicrosoft製品を上まわったのはLinux系で,伸び率は24%だった。Unix市場ではSunだけが光っていた。

 クライアントOS市場では,伸び率は減速したものの莫大なシェアを獲得した。クライアントOS市場で出荷本数が増加したカテゴリはWindowsとLinuxだけだった。Windows 98と同98 SEは前年比36%増。しかしWindows 95は前年と比べて激減した。Linuxは前年比で25%増加したが,市場シェア自体はわずか2%未満にとどまった。Windows 9xおよび同Meを合わせると出荷本数は前年比8%増となり,市場シェアは3ポイント拡大した。

 「クライアントOS市場全体の動向としては,32ビット対応OSとアプリケションの整理統合が続く。Microsoft社のライバルには残念だが,整理統合の方向は全体的にWindowsプラットフォームへと動いている」(Dan Kusnetsky氏)。

 一方のLinuxは,引き続きIT業界の主要企業から支持を得て成長すると見込んでいる。米IBM,米Hewlett-Packard,米Dell ComputerがLinuxを搭載したワークステーションやロー・エンド・サーバー機を出荷しており「もはやLinux市場を一時的なものとして見過ごすわけにはいかない」(IDC,Operating Environmentsプログラム調査マネージャのAl Gillen氏)。「大手ハードウエア・メーカーがLinux製品を市場に投入することで信頼性を問い続けるならば,Linuxには何か大きな価値があると顧客は判断するだろう」(同氏)という。

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 Windows 2000の技術・製品・市場に関する情報は総合IT情報サイト『IT Pro』の「Windows 2000」で詳しくお読みいただけます。

 Linuxに関する情報は総合IT情報サイト『IT Pro』の「Linux」で詳しくお読みいただけます。

 サーバーの技術,製品,市場の動向に関する情報は総合IT情報サイト『IT Pro』の「サーバー」で詳しくお読みいただけます。

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