英Ovumが米国時間2月22日に,今後IT分野で起きる変革に関する予測を発表した。同社によればカギになるのは複数のネットワークを介してさまざまな装置にコンテンツを配信するインターネット・サービス「マルチアクセス・サービス」である。
 同社の調査では,今後5年で世界におけるインターネット・サービス市場の40%が「マルチアクセス・サービス」によるものになるという。

 「マルチアクセス・サービスは新たな製品やサービスの成長市場を生み出す。この市場でビジネス・チャンスをつかむつもりなら,企業は自社のビジネス・プラクティスを大幅に変更しなければならない」。

 「米IBM,米Microsoft,米Sun Microsystems,米Hewlett-Packard(HP),米Oracleなどによるインタラクティブ・デジタルTVサービスやメディア・ストリーミング,無線向け戦略は‘いつでも,どこでも’利用できるインターネット・サービスの実現に向けた初期政策の例である。2005年には,PDAや携帯電話機,テレビ,そして車からもデジタル・コンテンツやサービスにアクセスできるようになる」(Ovum社調査ディレクタのNeil Ward-Dutton氏)。

 Microsoft社,ソニー,米AOL Time Warner,英Vodafoneなどのメディアや技術企業は,すでにマルチアクセス・サービスに向けた戦略を打ちだしている。

 「1兆ドル規模の可能性を持つ市場だが競争も激しい。どの企業も活躍の場を欲しているが,コンテンツやサービスを作成して具体化し,管理,配信することは容易ではない。複数チャネルの接続はネットワーク事業者や通信ベンダにさまざまな課題を投げかける」(同氏)。

 またOvum社は,メディアや技術企業が直面する主な障害は技術的な問題ではなく分化や国による問題であると指摘する。「勢力のある企業でも既存のサプライ・チェーンに依存していては,新たな市場に乗り込むことはできない」(同氏)。

 インターネット・サービス・プロバイダの目的は顧客獲得だが,新たなビジネス・ルールでは顧客を理解し共有することが利益の向上につながる。業界を超えた協調作業が成功の鍵となる。

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