インターネットの標準化を進めるWorld Wide Web Consortium(W3C)が米国時間2月21日に,「Mathematical Markup Language(MathML)2.0」をW3C勧告として発表した。MathML 2.0は,WWWでの数学的表記と内容の記述を可能にするXMLアプリケーションである。

 MathML 2.0は,表示形式と意味の観点から方程式をマーク付けできるXMLタグで構成する。方程式を画面上にどのように表示するかだけでなく,方程式の意味をとらえるようにする。

 「数式をXML形式で記述することで数学的コンテンツを表示させるだけではなく,WWWの他のアプリケーションで再利用や変換することも可能」(W3C,User Interface Domain LeaderのVincent Quint氏)という。

 MathML 2.0は,WWWにおける数学および科学分野のコンテンツの利用と再利用を容易化することを目的とする。数式処理システム,印刷組版機,音声合成装置などでの用途を視野に入れる。高画質ディスプレイ向けの数式表示だけでなく,科学ソフトウエアや音声合成アプリケーションといった「意味」が重要なアプリケーションで数学的内容を記述するためにも利用できる。

 MathML 2.0はMathML 1をベースに,記号と数式を拡充した。Cascading Style Sheets (CSS) を用いて数式にスタイル付けすることが可能。また,XML Linking Language(XLink) を使って任意の数式とリンクすることができる。

 MathML 2.0はW3Cのワーキング・グループ「Math Working Group」が開発した。Math Working GroupはすでにMathML 2.0向けのXMLスキーマや,XHTMLとMathML 2.0を組み合わせるハイブリッド・スキーマの開発に取り組んでいるという。Math Working Groupの参加メンバにはAmerican Mathematical Society,米Boeing,Universita di Bologna,Design Science社,米IBM,MacKichan Technologies社,MATH.EDU社,米Microsoft,NAG社,Penta Scope社,Stilo Technologies社,Stratum Technical Services社,Waterloo Maple社,University of Western Ontario,Wolfram Research社などが名を連ねる。

 インターネット関連の技術に関する情報は総合IT情報サイト『IT Pro』の「INET新技術」で詳しくご覧頂けます。

◎関連記事
W3C,XHTMLの機能を絞ったモバイル機器向け「XHTML Basic」を勧告として発表
W3CがHTMLとXMLの環境を統合するXHTML 1.0を勧告として発表
認証サービスに向けた2つのXML関連仕様がW3C勧告候補に
W3CがXML Schemaの勧告候補を公開,XML開発者へ実装を呼びかけ
W3Cが「Scalable Vector Graphics」をW3C勧告候補として公開

[発表資料へ]