米Microsoftが米国時間2月19日に,三菱電気,韓国のサムスン電子,英Sendoの3社と,開発中のスマートフォン向けプラットフォーム「Stinger」(開発コード名)に関しライセンス契約を結んだことを明らかにした。

 3社は,フランスのカンヌで2月20日から開催される「3GSM World Congress」で,「Stinger」のベータ版を組み込んだ電話機のデモンストレーションを行う。

 Stingerはインターネット機能をはじめ,音声対応機能やPIM(personal information management)機能などを備えるソフトウエア。

 「Stingerベースの携帯電話機は,欧州や米国で現在利用されている携帯電話機の平均的な外形寸法と比べ30%程度小型化できる。重量は110g以下になる」(Microsoft社)という。

 カラー表示とモノクロ表示の2種類を用意する。解像度は最大208x240画素。多国語に対応する。マイクロプロセサには英Advanced RISC Machines(ARM)を用いる。動作周波数は60MHzから。携帯電話機の連続待ち受け時間は約100時間で,通話時間は最大4時間。

 その他の特徴は以下の通り。
・第2.5/3世代ネットワーク対応
・インターネット用ブラウザ・ソフト「Mobile Internet Explorer」。HTMLのほかWAP準拠のコンテンツを表示する。SSL,XML,JScript,WMLなどに対応する。
・電子メール・クライアント
・SMS(Short Messeging Services)やボイス・メールなどの受信管理を一括する統合受信箱
・「Microsoft Outlook」などパソコンとの同期化機能

 三菱電機は,StingerベースのGSM/GPRS向けスマートフォンとして,欧州向けブランド「Trium」の製品を投入する。リリースは2001年後半の予定。なお,TriumブランドとしてはすでにMicrosoft社のPocket PCベースの携帯電話一体型PDA「Mondo」をリリースしている。

 Sendo社は,Stingerを搭載したスマートフォン「Z100」を投入する。重量99gで「世界最小・最軽量のGPRSトライバンド・スマートフォンとなる」(Sendo社)。6万5000色表示が可能なTFTディスプレイを搭載,MP3やWindows Mediaの音楽ファイルに対応する機能などを備える。IrDA,USB,RS-232Cのインタフェースを備える。マルチメディア・カードも利用できる。GSM 900,同1800,同1900のネットワークに対応し,欧州,アジア,アメリカ大陸で使える。リリースは2001年秋を予定している。

 調査会社の米Ovumの予測によれば,携帯電話の世界市場は出荷台数ベースで2006年に19億5000万台規模となり,このうち約46%に当たる8億9400万台がマイクロブラウザを搭載するという。なお2000年の出荷台数については,米Dataquestが「前年比45.5%増の4億1270万台」との調査結果を報告している。

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