米Gartner Group Dataquestがシンガポール時間2月9日に,2000年おけるアジア太平洋地域のパソコン市場に関する調査結果を発表した。1年間のパソコン出荷台数は1730万台に達し前年比30%増となった。

 第4四半期の出荷台数は前年同期比15%増だった。ただし同社のアナリストによれば,市場はそれ以上に伸びる可能性をもっていたという。アジア太平洋地域以外の経済的要因が影響して期待されていたほど伸びなかった,と分析する。

 「市場全体で第4四半期により高い成長率を達成できなかったのは,米国の為替相場がマイナスの影響を及ぼしたため。これによりパソコンのコストに影響が出た。米国市場の景気減速が報じられて,普段は販売が伸びる時期に勢いが衰えた。さらに,第4四半期に投入された新技術は期待されたほど買い手の購買意欲をそそらなかった」(Gartner Dataquest,Computing Platform部門上級アナリストのLillian Tay氏)。

 1999年に出荷台数で首位だった米IBMは2000年に28%の伸びを示したものの,順位は3位に落ちた。代わって,中国Legendが前年比89%増を達成して1位となった。同社の2000年の出荷台数は180万台を超えた。また韓国のSamsungと米TriGemは,それぞれ87%増と100%増を達成し上位に食いこんだ。

■表1 アジア太平洋地域における2000年のメーカー別パソコン出荷台数(台数ベース/速報値)

メーカ 2000年出荷台数 2000年シェア
(%)
1999年出荷台数 1999年シェア
(%)
伸び率
(%)
Legend 1,821,700 10.5 965,906 7.2 88.6
Samsung 1,463,500 8.4 784,200 5.9 86.6
IBM 1,396,662 8.0 1,091,650 8.2 27.9
Compaq 1,171,049 6.7 965,824 7.2 21.2
TriGem 880,000 5.1 439,850 3.3 100.1
その他 10,607,235 61.1 9,130,537 68.2 17.1
合計 17,340,146 100.0 13,377,966 100.0 29.6

注:数値はデスクトップ・パソコンとノート・パソコンを含む。
出典:Dataquest社

 国別の出荷台数をみると,中国,韓国,インド,インドネシア,タイが高い伸び率を達成しシェアも1999年に比べ拡大した。首位に立つのは中国でその伸び率は33%,出荷台数は660万台。これに続くのが韓国で伸び率は76%,出荷台数は360万台だった。これに,インドの100万台(同50%増),インドネシアの38万3400台(同39%増),タイの35万800台(同45%増)が続く。

 「中国はアジア太平洋地域の巨大市場であり,中国での成功はメーカーのシェア増大につながる。中国が世界貿易機関(WTO)に加盟したことで,同市場に参入するパソコン・メーカーが増え,競争が激化する可能性がある。したがって既存のメーカーは具体的なビジネス戦略を用意し,投資を進め,中国全土での成長を目指すことが急務となる」(同氏)。

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