(2001.2.9,Paula Rooney=CRN

 米Microsoftに近い情報筋によると,同社は次期Windows「Windows XP(開発コード名「Whistler」)」のクライアント版およびサーバー版の「ベータ2」を米国時間2月28日にリリースする予定である。Windows XPが市場に登場するのは,クライアント版が5月30日,サーバー版が10月1日となっている。

 Microsoft社は,Windows XPベータ2のユーザ・インタフェース「Visual Styles」を来週シアトルで披露する。Windows XPベータ2では,アイコンを見やすいように大きくした。アイコンは24ビットのカラーで表現する。システム・トレイの小さい表示でも,ハッキリ見えるという。またユーザーは「スキン」と呼ぶ機能を使って,ユーザー・インタフェースをカスタマイズできる。

 GUI(グラフィカル・ユーザー・インタフェース)は2000年10月に発表した「Whistler(Windows XP)ベータ1」から大幅に変更されている。

 「これまでのように角張った表示ではなく,コーナーが丸みを帯びている。視覚的にアピールするものになっている」(Microsoft社のパートナ企業)という。

 企業ユーザーは,“すっきりした”ユーザ・インタフェースが気に入るだろう。ログイン過程を簡略化し,ホーム・ディレクトリへのアクセス・ボタンを大きくした。Windows XPにはInternet Explorer 6.0が組み込まれるが,最終リリース版では「MSN Explorer」を搭載する可能性もある。

 ASPにとっては重要な端末サービス機能が重要になる。ドラッグ・アンド・ドロップ機能,音声対応機能を追加するなどの機能向上を図った。

 「Windows XP Personal(Windows 98/Me後継)」と「同Professional(Windows 2000 Professional後継)」は2001年下半期にリリースする。ファイルをMicrosoft社のストレージ・サイトに保存するスマート・エージェント機能を備える。ただし,Personal版からはマルチモニタ対応機能が削除されており,ユーザーをがっかりさせるだろう。

 Windows XPベータ2では,家庭ユーザーが同時に複数のプロファイルを利用することができる。例えば,一人があるプロファイルを利用してダウンロードを行っても,別のユーザが二つ目のプロファイルを使って同じマシンでプログラムを動かすことが可能。誰かがマシンを使用しているあいだ,ずっと待っている必要がない。

 Windows XPのタスク・バーはサマリ機能を備えており,現在開いている電子メール・メッセージ,ドキュメント,スプレッドシートなどをポップアップ・リストで表示する。例えば「Word 2000」の書類が5ファイル開いていれば「Word (5)」,電子メール・メッセージが7件開いていれば「Outlook (7)」とタスク・バーに表示され,ユーザは目的のファイルにすぐにアクセスすることが可能である。

 消費者にとってWindows XPは「Windows 95」以来,もっとも大きなアップグレードとなる。一方,企業が注目するのはサーバー版の「Active Directory」だろう。

 Windows XPベータ2のActive Directoryには,オブジェクト管理のためのドラッグ・アンド・ドロップ機能,オブジェクトの変更を実行する前に管理者がシミュレートできる「Resultant Set of Policies」機能が含まれる。

 そのほか,ディレクトリの移行と管理の機能を強化した。ユーザーのディレクトリが移動しても,同じアクセス許可を維持することができる。

 「Active Directoryの管理機能や統合ツールの強化により,我々全員がWindows XPの恩恵を享受することになるだろう」(ePresence社副社長兼CIOのScott Kitlinski氏)。

 しかし,来週火曜日(2月20日)にデモを行う予定のコードには,いくつかの欠点があるという声があがっている。また,Microsoft社はもっと重大な問題に直面すると指摘するアナリストもいる。

 「Microsoft社はWindows 2000に移行中の企業を混乱させたくない。Windows XP Personalを消費者に対しては大幅なアップグレード,顧客企業にはWindows 2000のマイナー・アップグレードとして投入するだろう」。

 米GartnerアナリストのTom Bittman氏は「同時に両方の市場に売り込むのは困難だ」と述べている。

 Microsoft社の内部資料によると,Windows XP(32ビットおよび64ビット・プロセサ対応)の製品候補版(RC)1の出荷は3月末。RC2は4月24日。5月30日の製造向け最終リリースを経て,製品出荷を始める。サーバー版のRC1は6月後半に出荷。RC2を8月29日,製造向けリリースは10月初頭を予定する。

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