イギリスのAnalysysが英国時間2月6日に,西欧のインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)市場に関する調査結果を発表した。

 それによると,2000年に西欧のインターネット・ユーザー数は前年比76%増の1億1600万人に達した。これは全人口の30%に相当する。しかしインターネット普及率こそ急増したものの,ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)は,市場の供給過剰と価格競争によって利益を出す道を探っている状態である。

 「ISPはユーザーや売り上げを増やすために,互いを傷つけるような値下げゲームを繰り広げてきた。しかし最終的に勝つのは最大手だけである」(Analysys社のRupert Wood氏)。

 成長を目指すならISPは値下げをするべきではない,とWood氏は忠告する。「その代わり事業成長のための整理統合に注力し,サービス品質(QoS:Quality of Service)の向上や独占的なコンテンツの提供などで差異化を図り,加入者を確保する。こうした合理化が過剰供給の問題を解消し,業界の自滅的な競争を緩和するだろう」(Analysys社)。

 家庭向けISP市場は,多数の加入者を抱える少数の事業者による寡占が進むとAnalysys社は予測する。例えばAOL Europe,Wanadoo,Tiscali/World Online,T-Online Internationalなど。長期的にみた場合,利益を上げるのは放送局やメディア企業などのコンテンツ・プロバイダである。

 収入モデルに関しては,電子商取引,広告,コンテンツやアプリケーション・サービスといった通話以外の付加価値サービスの収入が今後も成長する。しかしISPの売上高全体における割合は,今後5年で15%以下に低下する。基本接続料は引き続き最大の収入源だが,売上高全体に占める割合は2000年の62%から2005年には約50%まで低下する。

◎関連記事
米国世帯のインターネット普及率は2005年に75%,新たなデジタル格差も
大きく変わる米国世帯のインターネット利用実態,米社が調査
世界のオンライン広告市場,1999年の43億ドルから2005年に280億ドル規模へd

[発表資料へ]