【TechWeb特約】「斬新なデザインの新製品群にアップルの社運を賭ける」とジョブズ氏

MarkHachman

2001.02.02

（2001.1.31，Mark Hachman＝TechWeb News)

　米Appleが米国時間1月31日に，半年ごとの定期アナリスト向け説明会を行った。この席上でCEOのSteve Jobs氏は，「（2001年早々に投入した）SuperDrive（CD-RW/DVD-Rドライブ）やTitanium PowerBook（筐体にチタニウム合金を使ったPowerBook）などがMacファンから非常に高い支持を得ている。こうした斬新なデザインの新製品や技術が，Apple社の将来を決定づけるものとなる」と語った。

　Jobs氏は冷静な口調で説明を続けた。「最近発表した（3年ぶりの赤字転落という）Q4決算に頭を悩ませるよりも，こうした新製品の展開にエネルギーを注いでいきたい」。

　Apple社は1月初めに開催した「MacWorld」でTitanium PowerBook G4を発表した。Apple社が力を入れる「自信作」である。また，SuperDriveを新しいPower Mac G4の全機種に標準搭載することも明らかにした。

　この「Titanium PowerBook G4」の受注・販売状況について，Jobs氏は「大変好調だ」と説明した。しかし一部のアナリストは，Apple社にやや厳しい見方を示した。投資会社の米Zacks Investment Servicesによると，この会見により，17人のアナリストのうち12人がApple株を「様子見」（hold）とした。

　コンサルタント会社の米Creative Strategiesの社長であるTim Bajarin氏は，次のように説明する。「新型のノート・パソコンは需要が旺盛で現在，Apple社もこうしたトレンドを見越したのだろう。しかし，Titanium PowerBook G4に限って言えば，残念ながら勢いはいまひとつだ」。

　Jobs氏は2002年までに，iMacの製品ラインナップにもSuperDriveを標準装備することを明らかにした。「ただし，搭載に十分な数量を確保することと製造コストを下げることが条件」（Jobs氏）。

　Apple社の2000年第4四半期決算は，他のパソコン・ベンダー同様に販売が伸び悩み，売上高は前年同期比57％減と落ち込んだ。期末時点での在庫は5.5週間分に膨れ上がっている。

　「第4四半期に経営が落ち込んだのは，かえってよいことだ。悪い材料は出し切ったのだから，あとは浮かび上がるだけ。景気減速？とにかくやれるだけのことをやるしかない」（Jobs氏）。

　政府が景気対策としてどのような手を講じるのかについては，「予想できなかった」，また今後の景気動向についても「何とも予測し難い」と話した。「今はとにかく新製品の投入により，“ウインテル”ユーザーに揺さ振りをかけるだけ」（Jobs氏）。

　米Gatewayが，「当社はもはや純粋なパソコン・ベンダーではない」と宣言したのをはじめ，このところベンダー企業の脱パソコン化が進んでいる。Jobs氏は，｢パソコンが主役の時代は過ぎ去った」といわれる点については認めているが，インターネットとアプライアンスの組み合わせ，いわゆるネット端末については否定的な見方を示した。

　「低コストの端末を設計するには，プラグイン対応やストレージなどパソコンが備える機能の一部を切り落とさなければならない。Javaなどの先端技術を使ったWWWサイトが増えているというのに，そんなことをすればもっと深刻な問題を引き起こすことになる」（Jobs氏）。

　Jobs氏はMacWorld Expoの基調講演で「Macintoshはデジタル時代のハブになる」と語った。「今後，DVDプレーヤー，カムコーダ，MP3などの機器を全てつなぎ合わせる“デジタル・ハブ”として，パソコンが使われるようになる。何といっても、iMovie（Mac用動画ソフト）をカムコーダでみることはできないんだからね」（Jobs氏）。

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