米America Online(AOL)が米国時間2月28日に,無線データ通信キャリアや携帯電話ベンダと提携し,自社のサービスを広範なワイヤレス・インターネット・ユーザに提供していく計画を明らかにした。
「この提携を“AOL Anywhere”サービスの主たる戦略とする。AOLサービスの会員2100万人のほか,数千万人にのぼるAOLブランドのWWWサービス利用者,そのほか数百万のモバイル・インターネット・ユーザに向けて,簡単にアクセスできる無線通信サービス・システムを提供する」(AOL社会長兼CEO,Steve Case氏)。
「AOL Mobile Messenger」サービスでは,AOL電子メールやInstant Messengerのアプリケーションへの無線アクセスを提供する。提携先企業および具体的な製品やサービスの詳細は以下の通り。
・米Sprint PCS:Sprint社のインターネット対応携帯電話機に「AOL Wireless」のコンテンツやサービスへのアクセス機能を搭載。Sprint社の電話機ユーザは全米で数百万にのぼる。
・フィンランドNokia:Nokia社の様々な無線通信機器に向けたAOL Instant Messengerサービスの開発。
・米Motorola:Motorola社の様々な無線通信機器でAOL Mobile Messengerサービスを利用可能に。
・Research in Motion(RIM):RIM社のツーウエイ・インターネットPDA機器をAOLブランドにカスタム化し,AOL Mobile Messengerサービスを提供。
・米BellSouth:BellSouth社のIntelligent Woreless Networkを介したAOL Mobile Messengerサービスの提供。
・Arch Communications: Arch社のツーウエイの無線メッセージング機能を利用したAOL Mobile Messengerサービスの提供。
無線端末で提供するAOLサービスは以下の通り。
・AOL Instant Messengerを使ったAOL電子メールへのアクセス,Buddy List(友達リスト)のチェック,リアルタイム・メッセージングなどのサービス。
・Mapquest.comを利用したドライビング・ナビゲーション(運転経路)や道路状況に関する情報のほか,付近のガソリン・スタンド,レストラン,ホテル,ATM情報の提供。
・「AOL Personal Finance」による個人資産の管理や株式相場の提供サービス
・「MovieFone」を利用した映画の上映時間などの情報提供やチケットの購入サービス
・「Digital City」を利用したレストランやクラブ,エンターテインメントなどの情報提供サービス。
・タッチ・トーンの電話機でのキーパッド・データ技術を利用したメッセージ送信やワード入力。AOL社の子会社Tegic Communicationsの技術を用いる。
AOLサービスの会員は1日につき1時間以上インターネットを利用,送信される電子メールは合計で1億1000万を超える。インスタント・メッセージについてはAOLブランドのWWWサービス利用者を含めると10億にのぼるという。2100万人の会員のうち70%が携帯電話あるいはページャのどちらか,もしくは両方を所有している。「1999 AOL-Roper Starch Cyberstudy」によれば,インターネットの利用時間が長いユーザほど外出先からインターネットにアクセスする傾向があるという。
またAOL社は,3月から全米60都市で「AOL Digital City」の無線サービスを提供開始すると発表した。さらに,標準化団体WAP Forumに参加したことも明らかにした。
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