米AT&Tが米国時間1月30日に,企業ユーザー向けのネットワーク関連事業に関し,WWWホスティング,VPN(Virtual Private Network),コンテンツ・プロバイダ向けの3分野における新サービスを発表した。Washington D.C.で開催中の「ComNet2001」にて発表したもの。

 同社は2001年1月9日に,データ・センター8カ所の新設など2001年の事業計画についてすでに発表しており,今回の発表はその詳細について明らかにしたもの。IPバックボーンのOC-192(10Gビット/秒)への移行が完了したこともすでに発表している。

AT&T社が追加発表した2001年の事業計画における新サービスの概要は以下の通り。

■WWWホスティング・サービス:
 Washington D.C.とテキサス州Dallasにデータ・センター「Internet Data Centers (IDC)」を新設した。これによってAT&T社が所有するIDCは合計15カ所となった。2001年中に計8カ所に設置し,WWWホスティングの容量を現行の2倍に拡張する。

 既設のセンターの所在地は,米国内ではニューヨークに3カ所とサンディエゴに2カ所のほか,シリコンバレー,ミドルタウン,フェニックス,シカゴ,オーランド。このほか英国のバーミンガム,日本の東京と大阪である。

■VPN/VoIPサービス:
 企業ユーザー向けVoIP(Voice over IP)サービスや,企業内ネットワークでのリモート対応音声機能「Virtual Communication Services(VCS)」を提供する。

 VoIPサービスには,アクセスにより「Managed Internet Service(MIS) VoIP」と「Managed Router Service(MRS) VoIP」の二種類を用意した。両サービスとも高速通信用のH.323プロトコルを用いる。

 MIS VoIPは,世界各地との音声通信が可能な高品質音声通信サービス。米国内は定額で提供する。T1の接続環境で試験サービスを始めた。一方のMRS VoIPはFrame Relayサービス。世界40カ国での利用が可能。無制限で音声/ファクスが利用できるサービスを2001年後半より提供する。料金は月極めのモニタリング料金と回線使用料(Permanent Virtual Circuit cost)から成る。

 「Virtual Communication Services」は,テレワーカー(遠隔オフィスで働く人)や外出・出張中の社員などが,一般の電話回線とパソコンを使い,インターネットを介して社内のPBXにアクセスできるようにするもの。ボイス・メール機能や発信者番号通知,転送,電話会議システムなどの機能が利用できる。「離れていても,まるで同じ社屋内で仕事をしているような感じでやり取りできる」(AT&T社)。

 また,VCSサービスの第2弾として,「Virtual Agent」と呼ぶリモート・センター/仮想コール・センターのエージェント機能を提供する。2001年第2四半期に提供を始める予定。

■コンテンツ・プロバイダ・サービス:
 コンテンツ・プロバイダ向けのホスティング・サービス。伝送速度2.5Gビット/秒のOC-48を用いた接続環境を提供する。IPバックボーンには,10Gビット/秒のOC-192を用いる。「市場で最速の性能を提供できる」(AT&T社)。

 OC-192 IPバックボーンはボストン,シカゴ,ロサンゼルス,ニューヨーク,セントルイス,サンフランシスコを結ぶ。56Kビット/秒~622Mビット/秒(OC-12)のインターネット接続サービスに対応する。

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