米Rambusが米国時間6月16日に,既存のDirect Rambusインタフェースに比べて2倍のデータ伝送能力を備える「Quad Rambus Signaling Level (QRSL)」と呼ぶ双方向のバス技術を発表した。ハワイで開催中のVLSI Circuits Symposiumで明らかにしたもの。1997年から開発を行っていた。

 民生機器やネットワーク機器といった用途を当面はねらう。「メモリの容量は小さいが,広いバンド幅が欲しいという要望が強い。たとえばテレビ。こうしたニーズに応えるのがQRSL」(Rambus社の日本法人の直野典彦社長)。このほか同社の資料では,ビデオ機器やディジタル・カメラ,インターネット端末,家庭用ゲーム機,ルータなどを用途として掲げる。ちなみに今回はあくまで技術発表で,「製品化の時期については何ともいえない 」(直野氏)としている。

 同社は,東芝に対してQRSLのライセンスを供与したことも同日発表した。現時点でQRSLのライセンスを供与しているのは東芝1社である。

 データ伝送の方式は,Direct Rambusを拡張した形をとる。クロックの両エッジ(立ち上がりと降下)を使ってデータを伝送する。異なるのは,各エッジを用いて一度に伝送するデータが2ビットである点。すなわち,1本のケーブルを用いて多値のデータ(2進法で表すと00,01,10,11の4値)を送る。Direct Rambusでは1ビット(0と1)だった。

 結局,QRSLのデータ伝送速度は1本の信号線当たり1.6Gビット/秒。クロック周波数は400MHzである。Direct Rambusは,1本の信号線当たり800Mビット/秒なので2倍となる。製品化の時点で,QRSLのバス幅を何ビットにするかは不明である。たとえば8ビットならデータ転送速度は1.6Gバイト/秒,16ビットなら3.2Gバイト/秒のデータ転送速度が得られる。

 QRSLの信号振幅は,Direct Rambusを同じく0.8V。閾値は三つあり,1.67V(Vrefh)と1.4V(Vref),1.13V(Vrefl)。それぞれリファレンスの電圧を入力する。ちなみに4値の電圧は,以下の通り。すなわち「00」が約1.8V(V00)で,「01」は約1.53V(V01),「11」が約1.27V(V11),「10」が約1V(V10)となっている。信号線の延長距離は10cm(Direct Rambusは50cm)と短い。

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[発表資料]