米AMDとスウェーデンVirtutechは米国時間1月16日に,両社がAMD社の64ビット・マイクロプロセサ「Hammer」(開発コード名)ファミリ製品をシミュレートするソフトウエアの開発で協力体制を敷いていることを明らかにした。

 Hammer(以前は「SledgeHammer」と呼んでいた)は,AMD社の64ビット・アーキテクチャ「x86-64」に準拠したマイクロプロセサ。なおAMD社は以前x86-64に準拠したマイクロプロセサの登場は2001年末になるとしていたが,今回の発表で,Hammerは2002年前半になる見込みと発表している。

 両社が共同で開発・検証するのは,開発コード名を「VirtuHammer」と呼ぶソフトウエア。Virtutech社の「Simics」のx86-64版で,32ビット・マイクロプロセサ「Athlon」をベースにx86-64への拡張を施すものである。対応OSは,Microsoft Windows 2000およびLinux(ディストリビューションはDebian,Mandrake,RedHat,SuSE)。Virtutech社によると,VirtuHammerではAMD社の「SimNow!」に比べx86-64命令の実行速度が100倍高速になると言う。またマルチプロセサやネットワーク・インプリメンテーションなどにも対応し,Hammerの完全な機能をシミュレートするという。

 x86-64は,x86命令セットを64ビットに拡張するアーキテクチャで,既存のx86命令とのバイナリ・レベルでの互換性を維持する。アドレス空間の64ビット化や汎用レジスタの64ビット化を行う。がらりとアーキテクチャを変更した米IntelのIA-64とは違い,16/32ビットのx86アーキテクチャの延長線と位置づけられる。

 ちなみにAMD社は2000年8月9日に,プログラマ向けの「x86-64 Architecture Programmers Overview」を明らかにしている。Hammerは「Lightning Data Transport」と呼ぶLSI間をつなぐバスをもつ。データ転送速度は6.4Gバイト/秒である。

 x86プロセサに関する情報は総合IT情報サイト『IT Pro』の「x86」で詳しくお読みいただけます。

◎関連記事
AMDが次世代64ビットMPU「x86-64」向けシミュレータをリリース
Red HatやSuSE,AMDの新アーキテクチャ「x86-64」にLinuxポーティングへ
【アナリストの眼】米AMDと米Transmetaが提携へ----AMDの64ビット命令をコード・モーフィング上で実行可能に
【TechWeb特約】AMDがサーバー向けの隠し玉「Clawhammer」を明らかに(AMDが開発中の64ビット・マイクロプロセサ「Hammer」のサーバー用版が「Sledgehammer」。4~8プロセサ機向けで2002年第1四半期のサンプル出荷,同第2四半期の量産出荷を予定)
AMDがx86の64ビット拡張「x86-64」のアーキテクチャを明らかに
AMDのSanders会長が怪気炎,「サーバー向けプロセサでもインテルを追撃」

[発表資料へ]