米国時間1月11日にFCC(米連邦通信委員会)が米AOL(America Online)と米Time Warnerの合併計画を条件付きで承認したことを受けて,米AT&Tや米Microsoftなどで組織するインスタント・メッセージング(IM)の標準化団体IMUnifiedが,これを一部歓迎する声明を発表した。FCCは,合併の条件としてAOL社のIMサービスを3社以上の競合他社に開放することを求めている。

 IMUnifiedは,AT&T社,米Excite@Home,米iCAST,Microsoft社のMSN,米Odigo,米Phone.com,米Prodigy,米Tribal Voice,米Yahoo!の9社/団体が2000年7月に結成したIMの標準化団体である。

 IMUnifiedが発表した声明の内容は以下の通りである。

 「我々の目標は,相互乗り入れ可能なIMのメリットを消費者に提供すること,そしてIM技術を使った次世代サービスの開発を促進することだ。IMの相互乗り入れは,消費者に選択の自由を与え,また容易でシームレスなコミュニケーションの場を提供する」(IMUnified)。

 「しかし一つのIM大手企業がこの目標を我々と共有していないように思われる。我々はこの問題について即時的な措置をとるようFCCに求めてきた。今回のFCCが決定した条件は一つのステップに過ぎず,消費者に対する即時的な恩恵をもたらすものではない。またこの条件が限定的なため,将来における消費者の利益が約束されたわけではない。利益がもたらされない可能性もある。(しかし)我々はこの問題に対するFCCの取り組みに感謝する。IM相互運用性についてAOLがこれを避けていることを,FCCが問題視したことは重要な意義をもつ。ただしこの問題は今回のFCCの措置以上に大きなものである。今回の措置が限定的だったことにより,AOLのIM業界における完全な支配は今後当面続き,消費者と市場はまだしばらく被害を被り続けることになる」(IMUnified)。

 AOL-Time Warnerの合併計画については,2000年10月に欧州委員会が,同年12月にFTC(連邦取引委員会)が条件付きで承認しており,今回のFCCの承認が両社の合併完了に向けた最終段階となっていた。なおFCCの条件には,AOL社のIMサービスを3社以上の競合他社に開放することなどが含まれている。また,FTCが出した条件には,Time WarnerのCATV網の他社インターネット・サービス事業者への開放なども盛り込まれている。

 なお,AOL Time Warnerは,米国時間1月12日に「AOLTime Warner Foundation」を設立することを明らかにした。メディア,通信,情報技術で公共利益に貢献することを目指すという。AOL Time Warnerのもつ資源を利用して,人々がデジタルに触れ合う機会の提供や技術の向上に向けた取り組みを主に行うという。

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[IMUnifiedの発表資料]
[AOLの発表資料1]
[AOLの発表資料2]