インターネットの調査会社である米eMarketerは,米国時間1月9日に,個人情報の侵害,クレジット・カードのセキュリティ,企業ネットワークへの不正侵入,DoS(Denial of Service:サービス妨害)攻撃,コンピュータ・ウイルスについて調査した結果を発表した。

 それによると,2000年におけるオンライン不正の87%は,オンライン・オークション・サイトで起こったものだという。オンライン不正の被害に遭ったユーザーは,若者や高齢者ではなくジェネレーションX(20代から30代)およびベビー・ブーマー世代(40代から50代)が最も多く,その割合は全体の50%にのぼる。

 なお,米Media Matrixが行ったサイト視聴率調査では,米eBayがポータル・サイトの「LookSmart」や「ASKJEEVES」を抜いて14位につけており,これはオークション・サイトの利用が非常に多いことを示している。

「1カ月当たり1600万人のユニーク・ユーザーがeBayを訪れるのだから,オークションが不正の被害を最も受けやすいオンライン活用として常にランクされるのも当然である」(eMarketer社アナリストのRob Janes氏)

 その他の主な調査結果は以下の通り。

●2000年にFBIが受けたハッキングの届出は1万7672件に達した。1999年の件数は1万件に満たなかった。

●大手クレジット・カード会社である米VISAと米MasterCardの2社によれば,クレジット・カードに関する不正は,クレジット・カードの取引全体から見ればわずかだという。1999年の場合,推定250億件にのぼる全取引のうち,オンラインとオフラインを含むクレジット・カードの不正使用件数は2200万件である。

●オンラインで不正の被害に遭ったことがないインターネット・ユーザーは66%未満。34%以上はプライバシまたはセキュリティ侵害の被害を受けた経験がある。1人当たりの損害額は約600ドルで,多くの調査結果が算定するオンライン・ショッピングの平均支出額を上回る。

●子供は,商品やサービスと引き換えに自身の個人情報を提供する傾向が最も高く,多くの親にとって懸念事項となっている。

●オンライン購入に否定的なインターネット・ユーザーの多くはその理由として,「隠れたコストが気になる」,「不正が心配」,「企業倫理に疑問がある」を挙げた。

●現在のところ最も広範囲に繁殖し被害が大きいウイルスは「Love Bug」「ExploreZip」「Melissa」。上位20位のウイルスのうち少なくとも半数は米国以外から発生している。これまでのところ「Love Bug」による損害額が最も大きく,「Melissa」による損害額を40億ドル以上も上回っている。

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