パソコン市場の成長力にかげりが見えるなか,ハード・ディスク装置(HDD)ベンダーが“脱パソコン”への取り組みを本格化している。

 米Quantumは米国時間1月3日に,家電製品へのハード・ディスク装置(HDD)の組み込みを促進する業界団体「A/V Solutions Alliance」を立ち上げたことを明らかにした。HDDを使ったビデオ・データ保存,いわゆるDVR(digital video recoder)技術の普及促進をねらう。

 家電製品へのHDDを組み込む試みには,PVR(Personal Video Recorder)がある。これはHDDを使い,自動的に好みの番組を録画しておくもので,VTRの置き換えをねらっており。家電メーカーだけではなく,大手CATV事業者や衛星放送事業者などがセットトップ・ボックス(STB)にPVR機能を組み込む方向で開発を行っている。

 米Cahners In-Stat Groupの調査によれば,2001年から2003年までの間にPVRの出荷台数は年平均成長率275%で伸びていくという。この期間に世界におけるPVR市場は,95万台から800万台を超える規模に成長する。別の調査では,2004年までに米国の1400世帯がPVRを活用するという。

 A/V Solutions Allianceでは,「DVR技術を組み込む家電製品の開発ノウハウが十分でないベンダーに向けて,ハードウエアからソフトウエア,テストに至るワンストップのソリューションを提供する」(Quantum社)。Quantum社のほか,米C-Cube,米EnReach,米ExatelがA/V Solutions Allianceに参加する。

 なお大手HDDベンダーの米Western Digital(WD)は米国時間10月16日に,民生機器向けストレージ製品の新会社「Keen Personal Media(PM)」を立ち上げたことを明らかにしている。広帯域接続向けソフトウエア/サービス,ハードウエアなどを提供する。テレビやインターネットのコンテンツ管理,TVベースの電子商取引などに焦点を当てる。

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2004年の世界におけるNetTV設置台数は8100万台---。IDCの調査

[発表資料]